山田太一の「沿線地図」ですが、これはなかなか凄いドラマです。
実質主人公の広岡瞬扮する志郎と真行寺君枝扮する道子は、高校を中退して家出をします。そしてふたりで同棲を始めます。
当然、それぞれの両親は慌てふためき、あちこちを探します。志郎は東大を狙えるほどの秀才、道子も普通に大学に入れるほど勉強ができたのです。
そうです。ただのバカです。高校中退ということは、どんなに頭が良くても中卒です。志郎の親は銀行員ですから、お金もある。黙って大学に行けば良いではないですか。一時の感情で、人生を棒にふるのです。生涯収入など何倍にもなるでしょう。
道子は道子で、新井康弘扮する鉄太郎が、自分に気があることを利用して、いいように使っています。親のことをあれこれ聞くのに、自分たちのことは話さない。
それぞれの両親も、一見まともですが、河原崎長一郎扮する道子の父親は、僻みっぽく、人の言うことを聞かない。岸惠子扮する母親は、自分を蔑ろにする口うるさい夫に、強い不満を持っている。
一方、児玉清と河内桃子扮する志郎の両親は、一見丁寧ですが、プライドの塊です。道子のほうが息子を誘惑したと、固く信じております。
志郎はよく、ひかれたレールからはみ出たいみたいなことを言います。私のブログの読者の年齢層ならお分かりでしょうが、なにを甘えたことを抜かしているのか、です。
それで道子を孕ませでもしたら、いい笑い者です。40くらいで激しく後悔するでしょう。俺の人生は何だったのか?と。
山田太一は、わざとこういう設定にしているように思えます。このころのドラマは、15回まであり、まだ半分くらいです。しばらく、楽しめそうです。
※私が一番感情移入しているのは、新井康弘扮する鉄太郎です。
母親が営むスナックを、母親が入院したため、ひとりで切り盛りし、道子のことを好きなため、いいように利用されております。
そのうえ、ふたりの両親が、入れ替わり立ち替わり店に来て、ああだこうだ言われる。
可哀想で仕方ありません。