また、そのうちに、自転車で全国を回るとばかり思っていたので、火野正平さんの訃報が、かなり堪えております。ついこの間まで、自転車に乗っていたではないですか。


「こころ旅」では、よく地方のおばちゃんから、「昔、モテモテだった人だ」と言われ、「今ももててるよ」も、茶目っ気たっぷりに返すところが大好きでした。


なんといっても火野さんは、あの風貌と声です。スキンヘッドにしてからは、時代劇か殺し屋のような役がほとんどでしたが、たまに市井の人を演じると、たまらない味わいがありました。


ある方からのコメントにも書かれておりましたが、正平さんが登場するだけで、画面が締まるのです。それくらいの存在感でした。例えば殺し屋ならば、凄まなくても何かしら怖いのです。


訃報を受けて、たくさんの役者仲間からの呟きが、ネットに溢れておりますが、いかに火野さんが慕われていたかが、偲ばれます。


「こころ旅」でも、地方には何回も訪れているため、その土地の名物も知っており、だからといって豪華なものではなく、弁当だとか、そういうレベルのものに、舌鼓をうつシーンも、気取りがなく、実に良かった。オムライスも大好物でした。


歳を重ねる毎に、どんどんいい味わいを出し、私ごときが失礼なのですが、素晴らしい役者になりました。


特に最近は、坂元裕二や野木亜紀子作品にも出演するようになり、弁護士、職人、トラックドライバーなど、いい使われ方をしておりました。だからこそ、70を超えておりますが、これからだと思っていたのです。


私の地元にきたときの、「こころ旅」が録画してありますので、しばしの間、人間、火野正平に浸ろうと思います。


※「鬼平犯科帳」の来年放送予定の、「老盗の夢」が遺作になるのですね。かつての大盗賊、簑火の喜之助が登場する名作です。


喜之助は、橋爪功が演じるのですが、いつか、正平さんの喜之助も見たかった。いや、もうとっくに、喜之助を演じられる年齢だったのですね。