どうしても気になったので、「母の待つ里」を、最初から見直しました。

 

びっくりしました。二回目のほうが、断然面白いのです。


全てのことを知ったうえで、初回の中井貴一扮する松永と、宮本信子扮するちよとのファーストコンタクトを見てください。


中井貴一も、宮本信子も、凄い芝居をしているのです。それは、ふたりの関係がわからないと、見えてこないのです。微妙なぎこちなさが絶品です。


バスで東京に戻る、佐々木蔵之介扮する室田を見送る、ちよとのシーンもたまりません。だって、ふたりは、もう逢えないのです。


ちよが、海を見つめる眼差しの意味も、最後まで見ないとわかりません。そういうことなのです。


こうして見ると、宮本信子は、やはり怪物です。中井貴一、松嶋菜々子、佐々木蔵之介の三人を相手に、受けの芝居をしているのに、彼らを圧倒しているのです。


何より、あの里です。いろり、親切なご近所、鳥の鳴き声、山菜採り、薪割り、そして優しい母親、改めて見ると、中年以上の都会の金持ちが、故郷に描くものが全てある、いわばステレオタイプの故郷なのです。


騙されたと思って、見られる方は、頭から見てください。これは、文句無しの傑作です。


※表札が並んでいるシーンには、ちゃんと、満島真之介扮する田村の表札もありました。そういうところは、徹底しております。


もうひとつ。


私は、宮本信子の役名を、千代と書いてまいりましたが、クレジットでは、ひらがなでした。申し訳ありません。