「おむすび」を見て思ったのですが、先ほども書いた通り、これはかつての朝ドラのスタンダードです。


ものわかりの良い両親と祖父母がいて、ヒロインは天真爛漫で、回りには友達がたくさんおり、少しおっちょこちょいですが、回りのサポートもあって、夢を叶えていく。


時計替わりと言われた朝ドラなら、これで充分でした。ところが、「あさイチ」で、MCが朝ドラ受けを始めるに至って、彼らが感動したり、号泣するような内容のほうが、受けが良くなってまいりました。ネットの書き込みもそうです。


「あまちゃん」は、朝ドラの革命でしたが、「あさイチ」が始まってから、特に評判が悪かったものを並べると、よくわかります。


「純と愛」、「まれ」、「ちむどんどん」。


この三つは、脚本のクオリティが致命的でしたが、いずれも戦争も震災もありません。そこに、独りよがりなヒロインが、意味不明な行動を繰り返して、あちこちをかき回す。だから、共感を得られない。


結局、見る側は苦難を乗り越えるお話が好きなのです。しかも、少し屈折したヒロインのほうが、最近は受けがよいのですから、作り手は大変です。


今回の「おむすび」が、どちらに転ぶかは、まだわかりませんが、なかなか厳しいというのが、私の率直な感想です。


特に、「カムカムエヴリバディ」や、「虎に翼」を見てしまった私たちには、かつてのステレオタイプの朝ドラなら、尚更です。


※私の朝ドラベストファイブは、先日書いた通り、「あまちゃん」、「カーネーション」、「カムカムエヴリバディ」、「ちりとてちん」、そして「虎に翼」ですが、このなかで、震災も戦争も描かれていないのは、「ちりとてちん」だけです。