この映画も、40年以上ぶりの再会です。


大森一樹監督の、「ヒポクラテスたち」です。


京都の医大の研修医たちの群像劇ですが、その医師の卵たちが、古尾谷雅人、伊藤蘭、柄本明、斎藤洋介、阿藤海、内藤剛志、小倉一郎などですから、今や大ベテランか、すでに亡くなっております。


特に、古尾谷さんは、後に46で自殺しております。大好きな役者だっただけに、報道を聞いた時は、えらくショックを受けた記憶があります。


また、伊藤蘭は、キャンディーズを解散して、最初の映画でしたから、ずいぶんとマニアックな作品を選んだものだとびっくりしました。


他の皆さんも、伊藤蘭と小倉一郎以外は、当時はみんな何者でもありませんでした。いま、改めてこの面子を眺めると、非常に感慨深いものがあります。


医大の教授は、原田芳雄に、なんと!手塚治虫も演じており、他にも、渡辺文雄や牟田悌三、鈴木清順、北山修と、大変バラエティーに富んだ顔ぶれです。


医大生の日常を、実際に医大に通っていた、大森一樹監督が、誇張することなく、丹念に描いておりますが、正直いま見直しすと、かったるい部分もあります。ラストなど、もろ、「アメリカングラフィティ」ですし、やたらと映画評論家が出演しているのも、気色悪いものがあります。


逆に、手術や検査などのシーンは、手術中の会話など、やたらとリアリティーがあり、まるでドキュメンタリーを見ているようです。さすが、自身が、医師免許を持っているだけのことはあります。


また、当時は、気にもならなかったことや、今見なければわからないことが、いくつかありました。


この医大は、公立ですが、入学金五万、月謝が三千円です。私も一年だけ、公立の大学に通いましたが、そんなものでした。国公立の大学は、とんでもなく値上がりしました。


医大は、架空のものですが、名前はなんと、洛北医大です。「科捜研の女」で解剖を依頼するのが、同名の医大です。両方に出演している内藤剛志は、この映画では、バリバリの左翼の学生ですが、今では立派な権力側です。

 

後に、東宝の看板である、ゴジラシリーズの監督をつとめる大森一樹も、もうこの世にはおりません。時の流れを痛感いたしました。