昨日、WOWOWの、「TOKYO  VICE」の裏は、なんと!是枝裕和監督、坂元裕二脚本の、「怪物」でした。


私は、しっかり録画して、今日ゆっくりと見直しました。映画の公開時に、劇場で見て以来です。


覚えているところ、そうでないところ、色々ありますが、大筋は勿論覚えております。そのうえで見直すと、この映画の脚本の巧みさを、痛感いたしました。


何の予備知識もなく、この映画を見れば、永山瑛太扮する保利先生は、どうしようもない教師です。薄ら笑いを浮かべ、言葉だけの謝罪を繰り返す。それが、この映画のターニングポイントでもある、火事のシーンに戻ることで、保利先生の真の姿が見えてまいります。


しかし、無意識の悪意は、どんどん拡散してまいります。あっという間に保利は、とんでもないモンスター教師に仕立てあげられ、高畑充希扮する恋人すら離れていきます。


あんたが学校を守るんだよ。


田中裕子扮する、校長の言葉です。本当かどうかなど、関係ありません。ただ、スケープゴートが必要なのです。


改めて、舌を巻いたのは、湊と依里に扮した、子役ふたりの巧さです。これはもう、抜群に巧い。劇場で見たときも書きましたが、この映画の主役は、黒川想矢であり、柊木陽太です。また、坂元裕二も、是枝裕和も、子供が登場する作品は、外れがありません。


いまの日本における、監督と脚本のトップのふたりが組んだこの傑作を、なぜ日本はもっと評価しないのでしょう。見直すことで、改めてそう思いました。