山本周五郎の原作を、宮藤官九郎が脚色するという、「季節のない街」ですが、又吉直樹扮するリッチマンにスポットをあてた、「プールのある家」も強烈でした。


通称リッチマンは、一人息子とぼろぼろの廃車で生活しているのですが、息子に向かって、絶えず家の設計のことを話しかけます。


その日の食べ物すら、息子が集めなければならないほど困窮しているのですが、息子もその話に付き合い続けます。ただの夢物語だとわかっていてもです。


ある日、いつも残飯をもらっている店から、シメサバをもらいます。大将から、必ず火を通すようにと、念を押されるのですが、リッチマンは、シメサバはそのまま食べるものだと言い張り、ふたりは食中毒にかかります。


リッチマンのほうは、なんとか回復しますが、子供は、、、というお話で、今回もなんとも切ないものでした。


このドラマのキャスティングが、天才的だとは、以前も書きましたが、今回の又吉直樹以外にも、片桐はいり、濱田岳の親子、仲野太賀、坂井真紀の親子、増子直純、高橋メアリージュンの夫婦、MEGUMIと、荒川良々の夫婦、塚地武雅と前田敦子の夫婦、藤井隆とLiLiCoの夫婦、さらには、三浦透子と叔父の岩松了、得たいの知れない鶴見辰吾。猫が皆川猿時!


まともな思考回路では、絶対に無理です。よくぞキャスティングしたと思います。


それでいて、お話自体は、重々しいわけではなく、やたらとおかしい。おかしいのに、そこにあるのは、絶望しかない。なんの未来も見えません。


しかし、その絶望のなかにいる人達は、とにかく逞しい。強かといってもいい。


原作があるとはいえ、こんなドラマを書けるのは、今の日本には宮藤官九郎だけだと思います。