コマーシャルなしで、二時間というのは、一本の映画ほどの作品でした。阿部サダヲ主演の、「広重ぶるう」です。


北斎や国芳の錦絵が流行るなか、広重の絵は、全く売れておりませんでした。そんな広重を支えていたのが、優香扮する、妻の加代です。


広重の暮らしは、困窮を極めますが、あらゆるものを質にいれ、ギリギリの生活をしておりましたが、そんな時に、高嶋政伸扮する孫八と出会い、彼の助言もあり、東海道五十三次を版画にして、大ヒットします。


ようやくお金の苦労がなくなり、これからという時々に、、、というストーリーですが、阿部サダヲはもう、堂々たる主演俳優です。


それを支える優香は、実は和風の顔立ちで、こういう役柄ははまります。それと、久しぶりにいいひとの、高嶋政伸が素晴らしい。


毒を秘めた江戸弁が抜群で、ひそかに加代のことを想っており、ここのところエキセントリックな悪役が多かった高嶋政伸ですが、ラスト近くで、広重に向かって話しかけるところなど、ここ最近の彼のなかで、一番だと思いました。


セット、撮影など、深みがあり、しっかりしていると感じておりましたが、松竹で撮られていたので、納得いたしました。


いずれ地上波でも放送されると思います。意外性のあるストーリーではありませんが、大変丁寧に作られており、吹越満、長塚京三、勝村政信、笹野高史、渡辺いっけいなど、役者も揃っております。お薦めです。