かつて、ATGという映画制作会社がありました。アートシアターギルドの略称です。


2500万という、超低予算の制作費で映画を作り続けたのですが、そこには、数々の才能が集まりました。


そして、来月、WOWOWが、そのATGの特集をくみます。


高橋伴明監督の、「TATTOOあり」、大森一樹監督の、「ヒポクラテスたち」、根岸吉太郎監督の、「遠雷」、東陽一監督の、「もう頬づえはつかない」。そして、中川信夫監督の、「生きてゐる小平次」。


わたくし、「生きてゐる小平次」以外は、全て見ております。いずれも、地方では上映されなかったため、上京してから、名画座で追いかけました。


これらは、今の人達にいわせれば、それこそ貧乏くさい、地味で暗い、典型的な日本映画ということになってしまうのでしょう。


しかし、いずれの作品も、情熱やエネルギーを、強く感じました。出ている役者も、宇崎竜童、関根恵子、桃井かおり、古尾谷雅人、伊藤蘭、永島敏行、柄本明、奥田瑛二、森本レオ、石田えり、内藤剛志らが、決して巧いとは申しませんが、時代を表現しておりました。


全て、半世紀ほど前の作品で、私もリアルタイムで見て以来です。今、見直して、何を感じるかはわかりませんが、少なくとも、当時を思い出すことは、間違いありません。


特に、「TATTOOあり」は、宇崎竜童が、三菱銀行立てこもり事件をモデルにしており、射殺された犯人に、宇崎さんがそっくりでした。こういう特集は、本当にありがたい。


これに、黒木和雄監督の、「祭りの準備」があれば、完璧でした。わたくし、未だに見ていないのです。