初回、コマーシャルの多さにイライラして見た、「季節のない街」ですが、今回は録画したものを、CM飛ばしで見られました。


まいりました。えらいものを見てしまいました。


仲野太賀扮するタツヤの家族のお話なのですが、彼にはろくでもない兄貴がおります。誰が見てもまともではないのですが、坂井真紀扮する母は、金の無心にしかこない兄を溺愛しております。


母は震災で夫をなくし、仮説住宅のリーダー的な人物だったあきおさんと再婚し、子供も産まれました。家族のために必死で働く義理の父親は、タツヤにも愛情を注ぎ、大学を受けろと、スーツを買い与えます。


そんな時に、兄が帰ってまいります。吉本新喜劇の取り立てのような出で立ちで、IT企業を立ち上げると嘯き、タツヤのスーツを奪い、母からお金を持っていきます。


あきおさんは、そんなタツヤを不憫に思い、なんとかしてやろうと働き過ぎて、血を吐いて倒れてしまいます。


タツヤと母は、あちこちからお金を借りて、入院費を工面しますが、そのお金のほとんどを、兄に渡しておりました。その事を知ったあきおさんは、退院後しばらくして姿を消しました。


そんな兄が、しばらくぶりに姿を現しました。刑務所に入っていたようで、今度は政治家の取り巻きになり、ヘイトスピーチを撒き散らしているようです。


タツヤは、仮説住宅を出て、家族で暮らせるマンションに引っ越すため、誰にも内緒で貯金しておりました。そんな時、兄が刺されたことを、警察が知らせにまいります。タツヤの通帳を、なぜか兄が持っていたため、通帳から身元がわかったのです。


通帳は、母が勝手に兄に渡しておりました。母のために貯めていたお金を兄に渡して、瀕死の兄の横で、タツヤを罵倒するのです。


どんなに兄がやさしいか、どんなにタツヤが冷たいか、金をせびるために、やさしくしているだけの兄の本性に気付かないのか、気付かないふりをしているのか、それはわかりませんが、

母はタツヤを罵倒し続けます。


その言葉のひとつひとつを聴いてください。宮藤官九郎が、いま、いかに脂がのっているかがわかります。そして、罵倒する坂井真紀と、罵倒される仲野太賀を見てください。私は、「それでも生きてゆく」の大竹しのぶと風間俊介を思いだしました。


仲野太賀、巧いですねえ。抜群に巧い。大河ドラマの主役は違うのではと思いましたが、見ているひとは見ているのですね。


配信で、すでにこのドラマを見ている方々が、絶賛する気持ちが、この二回でよくわかりました。


タイトルは、「親おもい」。親思いなのか、親が重いのか、もしくは、その両方なのか、深いタイトルです。