寺田農さんが亡くなりました。肺がんだそうです。


子供の頃、徳川吉宗を描いた、「男は度胸」というドラマがあり、吉宗役の浜畑賢吉の次にクレジットされたのが、寺田農さんで、私は、「てらだのう」だと思っておりました。


母から、「みのり」と読むのだと教えてもらい、農業の農と書いて、みのりというのは、子供心にも、いい読み方だと感じたのを覚えております。ドラマのことは、全く覚えていないのですが、なぜかそのことだけは、覚えております。


いくつかのネットニュースを読みましたが、どれもこれも、ろくに寺田さんのことなど知らないか、通信社から配信されたものを、まんま書いているとしか思えないような、味もそっけもないものばかりでした。ジブリ映画の声優のことばかり書かれておりましたが、他に書きようがあるでしょうよ。


寺田農さんといえば、相米慎二監督の、「ラブホテル」です。日活ロマンポルノを復活させたもので、クレジットのトップは速水典子ですが、実質主演でした。思えば、相米監督作品には、かなり出ております。


事業に失敗して、自殺を決意し、デリヘルから女性を呼び、道連れにしようとした男が寺田さんでした。脚本が、あの!石井隆ですから、当然村木と名美です。


もうひとつは、倉本聰さんの作品で、「前略おふくろ様」のサブのお兄さん役は、サブ役の萩原健一と、輪郭などがよく似ており、本当の兄弟のようでした。「冬の華」や「駅」でも、出番は少なくても、いい役でした。


晩年は、やくざの組長のようなキャラを多く演じましたが、どこかに頭の良さを感じる佇まいで、それは、旅番組に出たときの、素の語り口でも感じられました。


大河ドラマ、「徳川家康」のときの、明智光秀も、いかにも寺田農らしい光秀でした。時代劇にも欠かせない役者でした。


81ですから、寿命といえば寿命ですが、もう少し、枯れた寺田さんを見たかった。


合掌。