このドラマを、初めて見たときは、今から10年ほど前でした。2013年7月のことです。


その時の感想を、このブログに書いており、今も読むことが出来ます。「いいね」はゼロ、コメントはひとつでした。アクセスも、100を超えれば、喜んでおりました。


山田太一さんの、この秀作の再放送のことを、私はブログの読者の方から、わざわざ連絡を頂戴いたしました。おかげで、見逃さずにすみました。ありがとうございます。


渡瀬恒彦扮する、短大の元教授が、カラオケ屋の店員になりすまして、ひとりカラオケに来ている客のなかから、これは、と思う人達を誘い、コーラスグループを作ります。


柄本明、中越典子、キムラ緑子、瀬戸康史、山崎樹範、阿南健治、伊藤麻実子、実に個性的な面子です。


そこに、柄本明の奥さんがやってくるのですが、それがなんと、鳳蘭です。めったにテレビドラマに出ない彼女が、短い出番なのですが、圧巻の歌を披露し、場面をかっさらいます。


その元気で明るく、歌の巧い奥さんが、くも膜下出血で、あっという間に亡くなります。


そこからが、このドラマのキモなのですが、山田太一の脚本は、大きな事件が起こるわけではないのですが、ひとつひとつのエピソードの積み重ねは、もう唸るしかありません。


最近のドラマは、起承転結すらきちんとしていないことがあります。特に、テレビドラマの映画化が、当たり前になったいまでは尚更で、連ドラが終わったのに、結論すら描かれないことすらあります。続きは劇場で、ということです。


渡瀬恒彦がいい。もっともっと見ていたかった。やくざ映画で、渡瀬さんが出てくると、嬉しくて仕方ありませんでした。


歳を重ねて、こういう普通の役を演じる渡瀬さんが、実にいい味を出しております。柄本明や、渡瀬さんの奥さんを演じる、いしだあゆみとのシーンなど、たまりません。


このドラマを見ていた時、それからわずか数年で、渡瀬さんが亡くなるなどとは、夢にも思いませんでした。どんどん渋みを増して、ずっと渡瀬さんを見ていられると思っておりました。


もう、山田太一さんも、渡瀬恒彦さんもいないのですね。


※このドラマのプロデューサーが、倉本聰曰く、日本一調子のいいプロデューサー、トシオさんこと、中村敏夫さんです。中村さんも、故人です。