ワタシにとって、個人的に思い入れのある、映画「ロクヨン」が、WOWOWで放送されました。勿論、ノーカット、コマーシャルなしです。前後編一挙放送です。


NHKで制作された、ドラマの「ロクヨン」は、テレビドラマ史上に残る傑作なのですが、主演のピエール瀧を始め、新井浩文、永山絢斗と、刑事ものにも関わらず、三人の逮捕者を出してしまい、未来永劫再放送はないと言われております。


私など、全て録画してありましたが、外付けハードディスクがぶっ壊れ、おじゃんになってしまいました。痛恨の極みです。


映画は、前後編ですが、これほど前編と後編で、印象の違う作品も珍しい。私は、原作も読んでおりますが、先に作られたテレビドラマのほうが、原作にほぼ忠実です。しかも、大森寿美男の脚本が、パーフェクトでした。


さらに、主役の三上広報官のイメージは、ピエール瀧のほうがぴったりで、佐藤浩市だと格好が良すぎるのです。他のキャスティングも、オールスターなのですが、それが全て活かされているとは、やはり思えませんでした。


それでも、前編は良く出来ておりました。しかし、後編になると、原作やドラマと違うことをしようとして、おかしなことになってしまいました。犯人と、三上の格闘シーンなど、その最たるもので、明らかに余計なことでした。


さらに、ふたつめの誘拐など、犯人を後編のどあたまで割ってしまっております。さすがにこれはない。


しかも、テレビドラマのエンディング近くの描写の時点で、映画はまだ一時間残しております。そこから、オリジナルの部分が、延々と続くのです。


その年のナンバーワンミステリーに選ばれたほどの小説ですよ。それにオリジナルを付け足すのは、私には無謀に感じました。


テレビドラマは、DVDは出ておりますので、見比べてほしいと思います。いま、原作と脚本の関係が、色々言われておりますが、この作品に関しては、間違いなく原作通りに映像化するべきでした。


※それにしても、すごい面子です。


佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、三浦友和、奥田瑛二、永瀬正敏、仲村トオル、夏川結衣、永山瑛太、緒方直人、吉岡秀隆、椎名桔平、滝藤賢一、窪田正孝、小澤征悦、鶴田真由、さらに、坂口健太郎、芳根京子、柄本佑は、まだ脇の脇です。


テレビドラマのほうは、映画よりも地味ですが実力派を揃え、誘拐被害者の段田安則(抜群でした)や、警察キャリアの平岳大と古今亭菊之丞は、映画を圧倒しておりました。松岡参事官を演じた、柴田恭兵も、この役に関しては、三浦友和よりもはまっておりました。