ある意味、今見て良かったと思います。


倉本聰脚本、岡本喜八監督の、「ブルークリスマス」は、そういう映画でした。


冒頭、岡田英次扮する兵藤教授が、国際会議で発言したことに、会場では怒号、嘲笑が飛び交ったことを報道するニュースから始まります。


後にわかるのですが、それは青い血が流れる人達のことでした。そのことを追いかける、仲代達矢扮する、国営放送の南、さらには、彼らと何らかの関わりがある、勝野洋扮する国防庁の沖が、並行して描かれます。


UFOを目撃した世界各国人達が、血液の色に変化をきたしたのですが、世界中の国が、そのことを隠蔽します。日本では、すべての国民に、血液検査が義務付けられます。


血液に異常が出た人達は、強制的に国外に移動させられます。そして、そのことを調べていた南は、上層部から急遽調査を打ち切るよう命令され、さらには、パリに転勤まで決まってしまいます。


血液が青くなったからといって、何か他に異常が出たわけではありません。むしろ、性格は穏やかになったと、口を揃えます。


しかし、世界中の指導者は、彼らを怖れます。これから、何らかの変化が見られるのではないかと。そして、かつてナチスがユダヤ人を恐れたがために抹殺したように、彼らをなかったことにしようとするのです。


教授は失踪し、教授の家は火事になり、同じく、青い血になってしまった、大河ドラマ(!)の主演が決まった女優は、罠にかかって逮捕され、そのことでドラマをおろされ、将来を悲観して自殺します。


ラストは、映画史上に残るバッドエンドだと思います。救いなど、これっぽっちもありません。


私が、今見て良かったと思ったのは、最近の排他的な一部の日本人の振る舞いが、あまりにシンクロしていると感じたからです。


勝野洋、竹下景子、仲代達矢、岡田英次、八千草薫、芦田伸介、島田正吾、高橋悦史、大滝秀治、小沢栄太郎、田中邦衛、神山繁、中条静夫、新井春美、大谷直子、中谷一郎、後に東映の社長になる、岡田裕介まで登場します。実に豪華で重厚なキャスティングです。


私が嬉しかったのは、岡本監督の常連である、岸田森と天本英世が、ちゃんと出ていることで、相変わらずふたりとも、見事なほど不気味です。


何せ半世紀近く前の、いわばSFですから、おかしなところもありますが、二時間を超える映画が、私にはあっという間でした。


※それにしても、同じ日に、「ブルークリスマス」と、「想い出づくり。」が見られる日が、この令和の時代に来るとは、夢にも思いませんでした。


それともうひとつ。


映画のなかでも使われる、主題歌を唄うのは、なんとcharですが、その曲が、世界的大ヒットとは、到底思えないような代物なのです。


作詞は阿久悠ですが、作曲は、映画音楽の大家である、佐藤勝です。さすがに、ロックに佐藤勝は合いません。