月刊ドラマという雑誌で、43人の、日本の第一線の脚本家が選んだ、山田太一さんの一本という特集を組んでいるそうです。それぞれの、ベストオブ山田太一ということです。
ふと、思いました。私ならば、何を選ぶだろう、と。
「獅子の時代」
「男たちの旅路」
「ふぞろいの林檎たち」
「シャツの店」
「早春スケッチブック」
五本ならば、すらすらと名前が上がりますが、ひとつとなると、かなり迷います。
しかも、これ以外に、単発もあり、
「終わりに見た町」
「今朝の秋」
「ながらえば」
など、記憶を辿れば、まだまだ出てまいります。
私は、あえて連ドラに限定して選ぶことにしましたが、やはり、「獅子の時代」です。以前ならば、「男たちの旅路」と答えましたが、時代によって、印象は変わるものです。
当時、私は大学生でしたが、なんといっても、当時東映の実録やくざ映画のトップスターだった菅原文太が、よりによってNHKの大河ドラマの主役を演じるというのは、とんでもなくインパクトがありました。
しかも、脚本が山田太一、音楽は宇崎竜童、共演は加藤剛、大原麗子、尾上菊五郎、大竹しのぶ、根津甚八、丹波哲郎、中村富十郎、鶴田浩二、沢村貞子、千秋実など、当時としても、超のつく豪華キャストでした。
会津藩の架空の下級武士、平沼銑次が、戊辰戦争に敗れ、明治という新しい時代に、維新の敗者としてどういう運命をたどるかを、アウトローを演じたら天下一品の役者、菅原文太が、まさに一世一代の名演をみせました。
それに、加藤剛という、普通ならば交わることのない、俳優座の正統二枚目俳優が、誠実極まりない薩摩の官僚を演じることで、化学反応を起こしました。
何度か書きましたが、ラストは、「怒りの葡萄」のオマージュだと、私は感じました。私の、大河ドラマのベストでもあります。
この名作が、今ではなぜか、私の地方ではレンタルでも見られません。配信などで見られる方は、必見です。
※大概ドラマに、挿入歌があったのも、初めてだったと記憶しております。
挿入歌の、「our history again」は、宇崎竜童さんの50周年記念コンサートのタイトルにも使われました。ダウン・タウン・ブギウギ・バンドが、NHKの大河ドラマの音楽というのが、いかに型破りだったかは、当時を知っている方には、おわかりだと思います。