私が、松本人志というひとを、どうにも好きになれなかったのは、「ごっつええ感じ」が人気の時に、どんなものかと思って見たところ、ああ、これは私とは相容れないと直感したからです。


横山やすしさんを、揶揄したコントをやっており、それは見るに絶えないものでした。


その時、やすしさんは、すでに吉本を解雇されておりました。そんなやすしさんを、バカにしているようにしか、私には見えませんでした。そこには、先輩に対する敬意も何もありませんでした。


ライト兄弟と名乗っていたころ、テレビ演芸という番組で、ふたりはやすしさんに、芸風を罵倒されました。その時のことを、根に持っているとしか思えなかったのです。


私が知っている、近年の松本人志は、むしろプロデューサー的に優れているという感じでした。ネタを見せるわけでもなく、それでいて、新しい芸人への嗅覚は鋭いという印象です。


さて、松本人志がいなくなれば、日本の芸能界は終わりだと言う方々がおります。


一部の人達にとって、松本人志は天才なのだそうです。天才は、品行方正とは限りません。放蕩の限りを尽くす、破滅型の天才芸人、天才芸術家は、昔からおりました。だからといって、その天才が、天才であることを免罪符にして、何をしてもいいわけがない。


映画、「アマデウス」のモーツァルトがそうでした。人間としては最悪ですが、音楽にかけては天才でした。しかし、回りは、その才能がわからなかった。


松本人志が揶揄した、横山やすしさんも、漫才の天才でした。かつてのビートたけしも、私は天才だと思いました。かつて、というのが悲しいですが。


松本人志という人を、私はそこまで見ていないので、天才かどうかはわかりません。ただ、仮に天才だとしても、何をしても良いわけではありません。事実、スポンサーは、すでに離れ出しております。


「ワイドナショー」への出演も、取り止めになりました。極めて賢明な判断です。吉本もフジテレビも、さすがに思い止まらせたのでしょう。


還暦近いおっさんひとりが、表舞台から消えて、日本の芸能界が終わるというなら、終わってしまえばいい。私は、そこまで日本の芸能界は、やわではないと思っております。