今まで、過去を描いたドラマや映画に対して、「ここは事実に反する」みたいなコメントを読むと、そんな細かいことをと思っておりましたが、自分が体験している時代となると、確かに無視できません。


BSのNHKで放送された、「アイドル誕生」は、明らかに違っていること、おそらく違っていること、その両方が見受けられました。


まず、明らかに違っていることです。


森昌子が、「スター誕生」の、最初の決戦大会で、プロにスカウトされたのは、事実です。しかし、彼女の本名は、森田昌子です。森昌子は芸名なので、その名前で、オーディションに出るわけがないのです。


天地真理は、過去に阿久悠と、テレビ東京で遇っているという会話がありましたが、これも誤りです。この頃、テレビ東京という名前はありません。まだ、東京12チャンネルです。


山口百恵が、ミニスカートを履けないというエピソードがありました。脚に痣があるという設定でしたが、これはフィクションでしょう。彼女が、脚を見せなかったのは、単純に、脚が太いと言われていたからです。


これは、確証はありませんが、阿久悠と都倉俊一との会話のなかで、「アイコン」という言葉が出てまいりました。業界では使われていた可能性はありますが、この言葉は、かなり後だと思います。


些末なことですが、こんな感じです。あとは二回見て、三浦誠巳扮する酒井政利と、安藤玉恵が、喫茶店で話すシーンがあるのですが、クレジットを見て、あれが有馬三恵子だとわかりました。南沙織の、「17才」の作詞家です。


また、谷田歩が出てまいりますが、あれは久世光彦だと、クレジットで確認いたしました。テレビの局員以外は、ほぼ実名ですね。


あと、ここは結構重要ですが、あのドラマを見ていると、山口百恵は、オーディションのときに、阿久悠に言われた、「君は歌手に向いていない」という言葉を根に持ち、阿久悠を避け続けたようにも、感じられます。なので、一切、阿久悠には、詞を依頼しなかったと。


本当のところはわかりませんが、当時の阿久悠は、超のつく売れっ子で、森昌子、桜田淳子、みんな阿久悠が手掛けました。だからこそ、山口百恵のスタッフは、その逆を狙ったのだと、私は思っておりました。あの年齢の歌手に対して、宇崎竜童が曲を書いたのも初めてでしたから、尚更そう思っておりました。


ほとんどの方々には、どうでもよいことですが、少々気になりましたので、ご容赦ください。