「鬼平犯科帳」をドラマ化するときに、原作者の池波正太郎さんが、絶対に守ることとして、原作がなくなった時点で、ドラマ化はやめるということでした。


だから、中村吉右衛門さんの「鬼平」においては、セルフリメイクという、大胆な方法をとりました。


例えば、「一本眉」という名作があるのですが、当初は芦田伸介さんが、その一本眉を演じたのですが、全く同じお話を、後に宇津井健さんが演じて、作り直したのです。


また、ふたつのエピソードをひとつにまとめたこともありました。苦肉の策なのですが、それでも、池波さんの亡くなった後も、戒めとしてスタッフは守ったのです。


真逆なのが、「雲霧仁左衛門」です。


こちらは、中井貴一主演で、NHKのBSで放送され、未だに新しいシリーズが作られております。


ところが、こちらは元々、そんなに原作がないのです。だから、オリジナルのキャラクターや、オリジナルのお話が、どんどん出て来ております。


だから、こちらは、クレジットには、原作、池波正太郎とはありません。原案となっております。そう、原作とは謳えないのです。


もし、池波さんが存命ならば、絶対に認めなかったでしょう。かつては、市川久夫さんという、池波さんが全幅の信頼をおいていたプロデューサーがいて、眼を光らせていたので、おかしなことが出来ませんでした。


池波作品のファンである私としては、やはり、「鬼平」スタッフのスタンスを支持します。


中井貴一、國村隼、内山理名という座組みは、実に魅力的なのですが、それでも原作にないことは、やるべきではないと思います。