先日書いた通りで、ネットでは批判だらけの、「白い巨塔」ですが、私は、そこまで悪くないと書きました。

書きました、というのが、悲しい。最終回でやらかしてしまいました。

詰め込み過ぎたのです。一審の判決と遺族の控訴、判決と財前の病気が発覚、最期と、そこまでを二時間に入れたものですから、全てが薄くなってしまいました。

特に、気になったところを。

斎藤工扮する関口弁護士ですが、唐沢寿明版のときの、上川隆也が良すぎました。

過去に、医療裁判で敗訴し、廃業寸前のところに、佐々木親子が駆け込み、着手金欲しさに依頼を受けるという、ドラマのオリジナルなのですが、極めて人間らしいキャラクターで、物語に深みが増しました。今回の斎藤工は、よくある正義感に溢れた若手弁護士で、それ以上でも以下でもありません。

裁判そのものも、淡白な進行で、様々な証人がはしょられておりました。そのため、財前が柳原に、罪をおっかぶせ、柳原が逆上して裏切るところが、唐突に感じるのです。ここは時間の短さが、もろに影響してしまいました。

もっとも致命的なのは、全てにおいて、ソフトなのです。

例えば、佐々木親子は、主人を失い、社員に裏切られ、会社を畳まなければなりませんでしたが、そこまでの描写はありません。

また、鵜飼学長は、もっとしたたか、悪辣で、名誉欲の権化のようなキャラクターなのですが、いま人気の松重豊を起用したせいか、こちらも悪役ぶりを、相当押さえております。

柳原は、財前に懐柔され、金持ちの婚約者まであてがわれます。財前を裏切ることで、柳原は何もかも失いますが、なんと婚約者は、大学を離れる柳原についていきます。

里見に至っては、あれは、大学に戻れたということなのでしょうか?最期は白衣を着て、浪花大学で、財前の指示で、彼の治療をしておりました。

どうにかこうにか、四話まで持ちこたえたのが、最後の最後に、破綻した、というのが、私の感想です。

唐沢寿明版が放送されたとき、前作にくらべ、役者がいなくなったと痛感しました。しかし、その時代としての、ベストなのだとも自覚もしたものです。

今回も、そうです。ドラマをめぐる環境は、間違いなく劣化しております。役者は、さらに減っております。

あえて、前作で起用された役者を使わず、いまのベストとなると、これで精一杯なのかもしれません。