先程の補足です。
このドラマが優れているのは、いわゆるいい人が、ひとりもいないというところです。そう、朝ドラの真逆なのです。
だいたい、ヒロインの元子自身が、犯罪に手を染めて、銀行からお金をかすめとり、唯一の味方の、江口洋介さん扮する安島も、長年仕えた政治家の後継を、未亡人からふんだくります。そう、似た者同士なのです。
ただし、どの悪党も、実に魅力的です。美容整形外科医、医学部向けの予備校の理事長、政治の裏のボス、身体を武器にしてきたホステス、どれもこれも、ろくなものではありません。
でもね、最近、いい人だらけのドラマばかりを見ていると、えげつないほど汚いキャラクターのほうが、よほど感情移入できるのです。
高嶋政伸さんなんて、振りきれてますからね。ワルは、やはりこうでなくてはいけません。
その世界でのしあがってくるのは、だいたいこういう方々です。
面白さ、という意味では、今期のなかでは頭ひとつ抜けたクオリティです。
※男目線で、言わせて頂ければ、散々お金を使わせて、なんにもさせてくれないのですから、怒るほうが当たり前なのです。
それともうひとつ。
かつて、NHKで放送されたほうの、松本清張さん原作の、「けものみち」で、伊東四朗さんは、罪を犯したヒロインのしっぽを掴みながら、バックにいる黒幕に、みじめに殺される刑事を演じておりました。
あのときの、伊東四朗さんが、私にとってのベストです。安月給の刑事を演じていた伊東さんが、今や政財界の黒幕ですがら、えらく出世したものです。
平幹二朗さんも亡くなったので、こういう黒幕を演じられる俳優が、本当にいなくなってしまいました。
昔なら、佐分利信さん、西村晃さん、小沢栄太郎さん、山村聰さんなど、おどろおどろしい方々がたくさんいらっしゃいましたが、今では二枚目あがりの方ばかりなので、いまの伊東さん扮する長谷川を演じられるのは、前作の津川雅彦さん以外だと、西田敏行さんや、山﨑努さんくらいしか、思い浮かびません。
味のある悪役が、いなくなったということです。