先日も書きましたが、私の地元では、中村吉右衛門さんの、初期の「鬼平犯科帳」が再放送されております。

改めて思います。

いい役者が、いなくなったのだと。

ゲストがね、改めて見ると、とんでもない方々ばかりなのです。

島田正吾さん、丹波哲郎さん、先代の中村又五郎さん、菅原謙次さん、山田五十鈴さん。

そして、今回は、田村高廣さんでした。

名優のなかの名優です。

父は、阪東妻三郎。弟は、田村正和さんと、田村亮さんです。

三兄弟のなかで、私は、田村高廣さんが、一番好きでした。いや、私が見てきた、名だたる俳優のなかでも、トップクラスに好きな方でした。

あの眼差し、佇まい、時として見せる凄み。阪妻の映画は、数本しか見ておりませんが、一番似ておりました。

田村さんがゲスト出演された、「雨乞い庄右衛門」では、鬼平に扮する、中村吉右衛門さんとの絡みは、ほとんどありません。いや、むしろこの回においては、田村さんが主役です。

大盗賊なのですが、昔かたぎで、残虐なことは一切しません。しかし、心臓に病をかかえ、手下に裏切られ、旅先で襲われます。

おかしらのけじめとして、裏切りものを、始末をしに向いますが、発作をおこし、たまたま出くわした、江守徹さん扮する、岸井左馬之助に助けられます。

貧乏な農家に産まれ、早くに親も亡くし、裏稼業になるべくしてなったと語る、田村さんが絶品です。

ひとりで、かつての手下が集まっている隠れ家に乗り込み、ひとりひとり殺していく田村さんは、それまでの穏やかな表情は、どこにもありません。

殺気、というものが、テレビ越しにも伝わってくるのです。

井出雅人さんという、名脚本家の作品ということもあり、この回は、鬼平屈指のクオリティとなっております。

機会があれば、是非!

※何度も書きましたが、吉右衛門さんの、初期の鬼平は、奇跡のようなキャスティングです。

鬼平の右腕、佐嶋の高橋悦史さん、彦十の江戸家猫八さん、粂八の蟹江敬三さん、この人以外には考えられないという面々です。これだけの方々が亡くなってしまえば、いくら吉右衛門さんが健在でと、継続は不可能です。

そして、梶芽衣子さん、多岐川裕美さんの綺麗なこと。

これだけの、正統時代劇を、あの!フジテレビが、水曜日の8時に放送し、ちゃんとした視聴率をとっていたのです。

つい、この間なのに、隔世の感があります。