いま、売れているミュージシャンが、なぜレコード大賞に参加しないかわかります?

馬鹿馬鹿しいからです。

賞をもらっても、得るものがなにもないからです。

そしてそもそも、何連覇も出来るような賞ではなかったのです。

私が、がっちりこのような賞レースを見ていたのは、中学、高校時代でした。

その年に、本当に売れた曲が、大賞候補に選ばれておりました。

森進一の「襟裳岬」、布施明の「シクラメンのかほり」、五木ひろしの「夜空」、沢田研二の、「勝手にしやがれ」。

その年を、代表する歌ばかりです。

その後も、ピンク・レディーや、winkなども取りましたが、山口百恵やキャンディーズ、松田聖子などは、とうとう一度も取れず、ジャニーズは新人賞がほとんどでした。

郷ひろみが、賞レースには参加しないと発表したのは、結構大きな出来事でした。当時は、紅白歌合戦や、賞レースに名前が出ないイコール落ち目みたいな風潮がありましたからね。

今で言うJPOP、当時は、ニューミュージックと言われましたが、テレビに出ないことがかっこいいとされた方々が出てきてから、さらにムードは激変しました。

また、レコード大賞は、TBSの独占でしたから、日本歌謡大賞を筆頭に、各テレビ局は、自前の音楽大賞を次々と作りました。顔ぶれはほとんど変わらないので、飽きられるのも速かった。

そういう流れのなかで、このての音楽賞が、どんどん無意味になっていったのです。

そうなると、今度は、賞レースを辞退するミュージシャンが相次ぎ、毎度変わらない顔ぶればかりが並ぶようになりました。

で、何連覇するような方々が、続々と現れたのです。そこらあたりから、明らかに偏った事務所、偏ったレコード会社に賞が集中するようになったのです。

そりゃ、素人が見ていても、おかしいと思います。売れてもいない曲が、最優秀歌唱賞に、しかもそれが、事前に噂された方々が、本当に選ばれてしまうのです。

それでいて、時間枠は拡大しましたから、かつてのVTRを、名場面と称して延々見せられるのですから、見ているほうは、阿呆らしくなります。

喜んでいるのは、一部の事務所と、その周辺の人達だけです。そいつらで勝手にやっていればいい。

とっくの昔に、賞味期限は切れているのです。

※今年は、AAAだと、すでに言われておりました。そこまで言われて、やれます?

私が明らかにおかしくなったと感じたのは、倖田來未さんが、大賞をとったときです。

この年も、倖田來未さんで決まりと噂されており、しかし、その時彼女はそこまで売れてはおりませんでした。

実際彼女は、大賞をとりました。曲は、年間セールス85位です。

ただ、それでは、昔は公明正大だったかと言えば、決してそんなことはありません。

新人賞なんて、本当に誰も知らないような方が、よく紛れ込んでおりました。

また、遠い昔、私がそちら側にいたときのことです。

私は、テレビ番組の制作会社におりましたが、社長はTBSの、レコード大賞の元プロデューサーでした。

確か、独立した後も、何らかのかたちで、まだレコード大賞とも関わりがあったはずです。

当時は、携帯電話などありませんから、レコード会社から、電話が会社に、バンバン入るのです。

その頃、私達が制作していた番組は、歌番組などありません。

そりゃ、いろいろありますよ。当時のほうが、受賞したら遙かにステイタスになり、お金になったのですから。

そうは言っても、誰もが納得するミュージシャンや歌が選ばれておりました。それだけのことです。