昨日の続きです。

昔、東映のやくざ映画では、鶴田浩二さんや高倉健さんがヒーローでしたが、そのヒーローに対峙する悪役を、大悪党でした。

そりゃそうです。天下の高倉健が、殴り込みにいくのです。今で言うラスボスは、思い切り悪くなくてはいけないし、そういう役者でなければ、バランスが取れませんでした。

だから、当時の東映には、それはそれはいい悪役がわんさかおりました。

私が好きだったのは、山本麟一さんで、何でも明治大学で健さんとは先輩後輩にあたる方で、「ヤマリンが来た」となると、まわりが逃げ出したほどの豪傑だったそうです。

体もでかく、目はらんらんと光り、健さんが何度か斬りつけても、そう簡単には死なない、悪役のなかの悪役という感じでした。

こういう悪役を、しかも大物と向き合える悪役が死に絶えたことも、やくざ映画が衰退した原因だと思います。

遠藤憲一さんにせよ、松重豊さんにせよ、最近はいいお父さんが増えておりますが、このへんが良いほうに回ってしまうと、本当に大物の悪役がいなくなってしまいます。

私は、松重豊さんには、もっともっと悪ーい役をやってほしいのですが、俳優は売れてくるとコマーシャルが入ります。コマーシャルは儲かりますが、様々な契約があるそうです。

例えば、仲の良い夫婦としてコマーシャルに出ると、契約期間は離婚できない、などです。

松重さんや遠藤憲一さんも、最近はコマーシャルをやたらと受けています。そうなると、悪役は受け辛いのかもしれません。

※倉本聰さんの本で読んだのですが、山本麟一さんは、私生活でも豪傑で、女性関係はかなりのもので、いわゆる精力絶倫だったそうです。

その山本さんのエピソードで、ふたつ大爆笑しました。

ひとつは、山本さんは狩猟が趣味なのですが、ある日、夜中に目が覚めると、奥様が自分に猟銃を向けていたそうです。

度重なる浮気に激怒していたそうで、目は本気だと。これは殺されると思ったそうです。

そこで、ヤマリンさん、何と言ったか。

「夢か」と呟いて、寝たふりをしたそうです。

さすがに奥様も、この言葉で、何も出来なかったそうです。

もう一つ。

狩猟に興じていたところ、雪山で道に迷い、もう駄目かというときに、山小屋を発見したそうです。

そこには老婆がいて、親切に介抱をしてくれたそうです。命の恩人と思ったそうです。

その日、そのおばあさんの、身の上話を聞いたそうです。夫を早くになくし、一人で生きてきて、良いことなどひとつもなかったと。

ヤマリンさんは、身につまされ、涙を流し、この恩人に何が自分にできるか考えたそうです。どうしたら恩返しが出来るだろうと。

ヤマリンさん、泣きながら押し倒したんですね。俺がしてやれるのは、これしかないと。

翌朝、目が覚めると、そのおばあさんは、朝ごはんの支度をしていたのですが、女の顔をしていたというのです。

これ、本人曰くですからね。本当かどうかもわかりません。

でも、豪放磊落を絵に描いたような、ヤマリンさんなら、やりかねないエピソードなのです。