山田太一さん脚本に、中井貴一さんといえば、あの、「ふぞろいの林檎たち」の名コンビですが、震災をテーマに、「時は立ち止まらない」で再度タッグを組みました。

しかも、監督は、TBSで、数々の名作をつくってきた、堀川とんこうさんです。テレビ朝日は、実にわかっています。

結婚が決まった家族が顔合わせをし、その数日後、震災に襲われます。

中井貴一さん扮する信金の支店長は、家が高台のため被災しなかったのですが、柳葉敏郎さん扮する新郎の父の漁師は、息子、妻、祖母を津波で失い、家も流されます。

何も失わなかった家族と、全てを失った家族。そして、本来は親戚になるはずだった、家族と家族。

じつは、中井さんと柳葉さんは、同級生だったのですが、当時とある因縁があり、それが何かも明らかになります。

実に山田太一さんらしいお話で、倉本聡さん、山田太一さんを、見続けてきた私にとっては、宝物のようなドラマでした。

中井さんをはじめとして、柳葉さん、橋爪功さん、樋口可南子さん、吉行和子さん、黒木メイサさん、神木隆之介さん(風のガーデンでは、中井さんが父親で、黒木さん、神木さんはきょうだいでしたね)、少ししか出ませんが、倍賞美津子さん、岸本加世子さん、みんないい。まともな役者さんばかりです。

未だ復興からは程遠い、震災をドラマにすることは、批判もあるでしょう。

しかし、真摯な姿勢で、ちゃんと取材を重ね、真っ当な内容であれば、私はこういうドラマを見たいと思います。

※中井貴一さん扮する、信金の支店長が、被災者の漁業関係者から、詰め寄られるシーンがありました。なぜ漁業を再開するためのお金を貸さないのかと。

ここは、切ないです。支店長としては貸してやりたい。けれど支店長決裁では恐らくは通らない。しかも、担保がない。なにもかも失っているのですから。

一人が吐き捨てるように言います。あんたは被災していないからと。

切ないです。





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