私がまだ若かった頃、例えば女性を日本映画に誘うと露骨に嫌な顔をされました。

まあ、少々私の嗜好が特殊でして、やくざ映画やエロが入ったものが大好きでしたから、仕方ないと言えば仕方ありません。

今、日本映画はブームとまで言われております。しかし、そのほとんどは大人の鑑賞に堪えうるものではありませんし、第一とてもではありませんが、いい歳をした大人が観るような役者さんたちではありません。

とにかくテレビとマンガです。テレビドラマを映画に作り直すパターンと、原作がマンガで、それを実写化するというものです。だから原作がマンガのテレビドラマを映画にするという事も当然あります。

いや、映画としてちゃんとしていれば別に良いのですが、テレビ屋が口を出すのか、広告代理店が出すのか知りませんが、まあロクなものがありません。

それこそ、なんでこんなものをわざわざ映画化するの?というものまであります。

特に最近では、映画の公開にあわせて出演者がやたらとテレビのバラエティーに出まくります。

ひどい時など、夜の七時くらいから同じ俳優が12時頃まででずっぱりなんて事もあります。

いつからこんな事になったのでしょう。

大量宣伝の走りは、角川映画の「犬神家の一族」や「人間の証明」ですが、いまの状況から見れば可愛いものです。

私は、「踊る大捜査線」だと思います。

あのシリーズの一作目は、映画としても極めて良く出来ておりましたが、恐らく制作サイドの予想以上にヒットしてしまいました。

ここです。予想以上にです。

それで欲が出た。ならば続編は、これでもかと言うほど過剰に仕掛けを施し、そして実写映画ではナンバーワンの興行収入をもたらしました。

しかし映画としては、前作とは比べようがないほど無惨な出来で、主役のあの方が、やたらと脚本に口を出したからだと、噂が流れたほどでした。

しかし映画は当たった。そこでテレビ局はどこもかしこもドラマの映画化に参入し始めたのです。

そこには、かつての暗い地味な日本映画はありません。女性や子供が見たくなるような仕掛けが、やたらとあります。

テレビ局にイニシアチブを握られ、しかしお客は入るのですから、映画会社は黙るしたなく、

テレビドラマしか撮った事のない、映画監督が続々現れ、どんどん日本映画は堕落しました。

そこには、かつて世界中の映画人が憧れと驚きで称賛したような日本映画は存在しません。当たり前の事ではありますが。

しかし、今風のかっこいいお兄ちゃんが出てきて、原作がマンガで、テレビ屋が監督で、こんなのに普通お金払います?

いや、

ケータイ小説などという代物を映画化しても大ヒットし、事実大泣きするほど感動する方々が存在するのですから、それはそれでアリなのかもしれません。