@六行会ホール
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あらすじ
「交渉人は…おばあちゃん!?」
地方銀行の支店で銀行強盗事件が発生。銀行員の機転で犯人の逃走を防いだことが裏目となり、ボニー&クライドと名乗る男女カップルの犯人は、銀行員達を人質に取り建物の2階に立て篭もってしまう。事件発生から6時間が経過、手詰まり感を感じた警察は、伝説の交渉人と呼ばれた元生活安全課の巡査、遠山弥生を召喚する。現場に到着した弥生は、電話の会話だけで犯人の素性や動機を見抜き、人質救出や犯人投降への道筋をつけていく。しかし事件発生から8時間が経過した頃、解放された人質の証言から、犯人達が隠していたある事実が判明し、現場は騒然となるが…。
交渉人遠山弥生が、型破りな交渉術と、心に繋がる(Connect)会話術で、犯人の心の奥底に迫る!
犯人達が隠した葛藤とは…10時間に及ぶ交渉の最後に見た景色とは…。
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キャスト
宇田川美樹:遠山弥生(伝説の交渉人)
高宗歩未:鶴野美雪(銀行窓口担当)
オオダイラ隆生:クライド(銀行強盗)
小林亜実:ボニー(銀行強盗)
藤堂瞬:吾妻孝敏(県警一課)
高田淳:佐倉祐一郎(県警一課)
松木わかは:栗尾美玲(行動心理分析官)
小沢和之:戸越正助(銀行支店長)
石田太一:津田輝(銀行営業主任)
はらみか:来島紗季(銀行窓口担当)
永瀬がーな:馬場園明日花(銀行窓口担当)
大多和愛子:山路春海(銀行融資課長)
吉田翔吾:小峠敦(県警一課)
森岡悠:真壁芽以(県警一課)
小川代護:黒羽青次(SIT隊長)
添田翔太:中丸俊平(声紋分析専門家)
椎名亜音:霧ノ島まどか(焼肉店社長)
菅野英樹:村雨猿五郎(霧ノ島の部下)
樋口靖洋:鶴野修作(美雪の父)
大島翠:安達美湖(美雪の妹)
高見澤文彬:源次晃也(ライブハウスオーナー)
花江藍:津田明奈(津田の妻)
南場陸仁:柏村忠徳(県警若手刑事)
花山侑巳:弓月礼奈(県警若手刑事)
小湊俊:敷島裕二(SIT隊員)
開發美波:春島鈴(テレビレポーター)
藤本咲来:結城景子(テレビレポーター)
兎我野秀:雨宮祥哉(テレビ取材カメラマン)
城崎蘭:江崎志音(ボニーの友人)
園田愛:徳山南(銀行員)
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偶発的にシャッターが閉まってしまい、立てこもる形となってしまった銀行強盗犯。
その2人から人質を解放するため警察が奮闘するなか、ベテランのおばあちゃん交渉人が登場。
犯人の心理を探りながら、事件の真相を解いていく。
といった話。
犯人の言葉から地元の人間であることがわかったり、
男は売れないバンドマンでありオーナーから暴言を日々浴びせられながら焼き肉屋を開業するがライバル店の出現により失敗。
その2人に復讐をするために派手な行動を起こそうとしていた。
一方、人質になっている美雪がクライドの同級生で2人が共謀して企てた計画であることが分かる。
美雪は1度少額の横領を行ってしまったことから支店長に脅され、来島が行っていた横領の帳尻合わせをさせられていた。
また父から金銭をせびられる日々。来島や支店長の横領の罪を暴き、人生に意味を見いだせないクライド同様死んでしまおうとしていた。
それを遠山が電話を何回もつなぎ、彼らを説得。最後はクライドに美雪を説得させ、死者を1人も出さず事件を解決させることに成功する。
ざっくりいうと。
冒頭で銀行強盗が起き、捜査本部的なものが立てられるので1時間50分終始スリリングであったものの、
時折コミカルさがのぞき、切ない物語に入り込んでいく。
とてつもなく見ごたえのある作品だったなと思います。
アクション活劇、みたいなのはあっという間の110分!って感じなんですがじっくり110分堪能できたというか。
会話の応酬である交渉をテーマにした作品で立てこもりを110分は実に舞台向きで、濃密な時間でした。
例えばドラマで言えばモブキャラになってしまいそうな若手刑事やSIT隊員にもしっかり見せ場があったりするのは舞台ならではで。
且つ1シーンしか出演しないキャストもいる中で、だからこそ人間ドラマに説得力が生まれるというか。
30人いて全員活躍するなんて難しいやろ、とSNSの感想みながら思っていたけど実際観たらその通りでした。
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箇条書き感想(一部キャスト)
宇田川さん
:ただのおばあちゃんに見せかけて凄腕交渉人というのは宇田川さんっぽい感じ。
向かいの煎餅屋のおばあちゃんと談笑しつつ情報仕入れたり、大人として年下の人に対して諭したり助けたりする圧倒的存在感。
それでいて一般の人には優しく、暴言をはく人間には強く説教。
メタ的にも作中的にも色んな個性が集まった中でやはり真ん中はこの人しかありえない、と動きの少ない作品でもとりわけ動きの少ないキャラクターがこの存在感は流石です。
高宗さん
:銀縁眼鏡で黒髪ロングで銀行員なので真面目系。ドタイプ。しかも幸薄属性まである。
実際に基本的には真面目で好きだった人に再会できて嬉しかったんだろうなぁとかはあるけど、自ら肩代わりをしている横領の犯人である来島がメンズバー通いをするなかで質素な生活を送らざるを得なかったり。
それでいて父から金をせびられ、妹にはそれを悟らせることなく結婚するまで援助し続けたり。
きっとその生活にどこかで爆発してしまって美雪はちょっと壊れてしまった。でも性格は変わるものではなくて変えたいけど変われない。変えたくないものもあったんだろうけど。
死を覚悟して事件を起こすけど最期やり残したことと妹に結婚おめでとうと伝える姿に美雪が表れているような気もします。
最後事件解決後、連行という形ではなく保護という形を警察がとったのは彼女に対する気持ちだし、それに対して素直に応えきれずに自ら手錠をはめてそれを掲げるように出てきたのも美雪なんだなぁと。
きっと美雪は地元を追われることになるだろうけど、どこでも幸せになれると思うし、なってほしいと思います。
オオダイラさん
:派手な強盗で凄いキャラだなぁと思うけど、それでもなんかにじみ出ている良い人感は序盤で明らかになるわけですが。
彼もまた根っから悪になりきれない人間で、だからこそ死ねと言われ続けることで人生に価値を見出せなくなってしまったのかなと。
純粋なんですよね、良くも悪くも。最後想いを吐き出して泣き出すシーンは良かったし、遠山の説得から彼自身が美雪を踏みとどまらせたのも良いシーンだったなぁと思います。
小林さん
:ボニーはクライドがバンドマンだったころの追っかけで最初は彼から良いように利用されたというか。もしかしたら両想いだった時期もあるのかもしれないけど今でも好きでいてくれていると思いながらクライドと一緒にいるんかな。
それが決して順風満帆にいくことはないと知ってはいてもクライドと一緒に暮らすことができるならと強盗の片棒を担ぐことになるけど、結果的にクライドは美雪と共謀していてボニーには隠されていた事実があった。
その動揺から小さくなってしまうけど元々は彼女もまた気の優しい女の子でただただ好きな人と一緒にいたいだけなのかなと。
けれども、そんな彼が実は美雪のことが好きであることを知り、それでもなお彼を好きで支えたいと思う心は切ないなぁと。
2人が刑務所を出たあとボニーはクライドの妹ポジションとかにおさまってでも彼の傍にいようとするのかな。
美雪やクライドも勿論ですがボニーにもまた本当に幸せになってほしいなと思いました。
高田さん
:外見だけでなく心もイケメンで仕事が出来る。1人人質交換で人質となった際も常に冷静沈着で解決のために奮闘。
事件を解決したあともYシャツ姿で人質とならなければならなかったため「このまま出ていくのは」と美雪に言ってはしごで降りていくのもクールでした。
わかはさん
:最初は敏腕分析官として登場するも作中としては上位互換となる遠山が登場するので影が薄くなる、かと思いきや彼女は彼女できちんと存在感を示していました。
フォローというかサポートというか、自分の立場を下げることなく展開の説明役にもなっていたりして良かったなぁと思います。
これもまたわかはさんのハマリ役だと思います。余談ですがついこの間同じ六行会ホールで同僚役の吉田さんと14歳同士だったのに。役者って凄いなと思いました。
(それでいうと同じ刑事の高田さんは怪物だったんですが)
小沢さん
:男らしいリーダータイプにみえて女遊びは派手なタイプ。でもリーダータイプは健在で(いや横領隠蔽と脅迫してるんだけど)
命の危険が迫ったときに女性だけでも人質解放してあげてほしいと言えるタイプではあるので仕事はきっと出来るんだろうなぁ。
石田さん
:状況に混乱しながらも気丈に振舞おうとするというか責任感は強そうな人物で、印象的だったのは2階から突き落とされたあと
警察に保護されたときの動き。震えているんだけど過剰ではない、抑えなきゃいけないんだけど抑えられない震えみたいなのが表現されていた気がしてとても良かったです。
あそこでリアル感じられたというか。
はらさん
:来島は元々情緒不安定なケはあるんだろうけど、追い込まれて本性みせてしまったというか。でもいるよね、こういう人。みたいな。
追い込まれて犯人の目の前で警察に電話しちゃう、みたいな。あれ仮につながって警察が来てくれたとしても悪手だと思うんだけど心理状態からそうなっちゃうんですかね。
保護されて「帰っていいですか」とか言っちゃったり。いい感じの嫌なやつって感じでとても良かったです。
椎名さん
:知的で先まで考えることのできる流石社長という女性。「遅かったみたいね」って言って手を挙げるの外国映画っぽくて好き。
着てた上着にタブレット隠して戻ってくるのはバレバレな気はするけどそういう行動も出来るところが格好良い。
美雪にライン送らせてるときのボニーの監視とか。
(そういえば来島、「取引先だからって先助けてあげようとか無しでしょ!」みたいなこと目の前で言ってたような。。)
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この回はアフターイベントでカーテンコール衣装撮影会もありました。
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戦利品。
以上。



