@浅草九劇
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あらすじ
アイドルタイム=仕事の無い時間帯
ひょんなことからお城をクビになった武勇高き侍
踊りだしたくなるほどに「暇」な日々を過ごす侍を訪ねて
様々な人間が長屋を訪れる
企画演劇集団ボクラ団義10周年記念公演第二弾!!
輝かしい功績と、買い続けた憎しみが呼んだ戦国武将の日常ダンス!!
ボクラ団義が送る!長屋シチュエーション舞い話(まいわ)劇!!
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キャスト
【bokura-dangi】
沖野晃司:七曲左之助時継(クビになった武将)
竹石悟朗:二本松茂吉祐貞(時継の家臣)
大神拓哉:蜂屋小三郎繁豊(時継の食客、大江の息子)
平山空:恵那(時継の妻)
春原優子:梅蝶(将軍お抱えの芸人、三味線弾き)
添田翔太:柳沢源四郎元信(時継をライバル視している武将)
福田智行:扇阿弥(将軍お抱えの芸人、舞を舞う)
高橋雄一:コメコ・デ・トールス(宣教師)
中村宜広:権左(時継らが住む長屋の管理人)
大友歩:吉乃(源四郎の妹、本人は気付いていないが茂吉に好かれている)
松嶋沙耶花:園(近くの茶屋の娘、小三郎や源四郎から好かれている)
【guest】
今出舞:菊(謎の百姓の娘)
加藤凛太郎:孫平治(時継の家臣、城で働きたい)
若狭勝也:大江昌景(左之助の上司で復職の案を持ちかける)
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何故か戦の最中、将軍の命に逆らって城をクビになった左之助。
妻にそれが知れたら離縁になると浮気をでっちあげるが、
そこに菊と言う女性が現れたことで話がややこしくなり、
彼がクビになったことで色々な人物が現れて、
巻き起こるドタバタコメディ。
ただ、左之助が命に逆らった理由は、
隠れるために百姓の格好をしていた敵方の大将を討ち取った際に、
逆に大将の格好をさせられて身代わりで殺された百姓の父を持つ菊と出会い、
人殺しをやめると誓ったことにあった。
それから人を斬ることが出来なかった左之助。
そんな彼らを慕う家臣たち。
養父だと思っていた大江が実父であると知らされた小三郎が考えるのをやめて踊り始める。
踊っていると何もかも忘れ楽しむことが出来る。
そんな彼らに大江が踊る芸人として城へ戻ってくることを提案する。
といったようなお話。
ボクラ団義では「ゴーストライターズ!!」以来のコメディなんでしょうか。
なんかボクラ団義で久々に大笑いしたような気がします(久保田さん作品でなら「ロスト花婿」がありますけど)
でもギャグがあって笑えるというよりは、切羽詰った行動が笑えるといった感じ。
家を追い出されそうになり、だけど妻にクビのことを言えてないからなんとか引き伸ばしたいんだけど事情を知ってる人間がわんさか押しかけてくる左之助の慌てっぷりが面白い。
みたいな。
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箇条書き感想:
沖野さん:
クビになる原因を隠しながら色々と奮闘していたんですが、その動きがなんとも面白くて、
妻が家に帰って来たときクルクル回転したり、アクロバティックの無駄遣い、みたいなw
権左に突っ込むときの「…鬼か!」とかも面白かった。
でも唯一といっていい真面目なシーン(その菊との対峙シーン)はある意味いつもの沖野さんって感じで格好良かったです。
2列目だったのでとてもよく表情も見えましたけど、敵の大将を埋めようとするときの表情とかとても良かった。
竹石さん:
1番色々と動き回る役だったかな。OPダンスのあと凛太郎さんと出てきたとき2人揃って既に汗びっしょりで、
ふすまに顔を押しつけるシーンがあるんだけど、ふすまにべっとり汗がついていて、いや凄いな…と。いつも動き回ってて汗だくなのは伝わってくるんですけど、
前述の通り2列目だったので、話すたび汗がしたたり落ちるのとかよく見えて、殺陣の多い作品も大変だけど、殺陣なんてほとんどないのにこれはこれで大変だなと。
場を取り繕うために左之助が復職できるかもしれないきっかけだったお椀を割ってしまって、それを源四郎に罪をなすりつけようとしたり、
台所に入らせないようにするためにゴキカブリがいっぱいいるとか嘘ついたり、挙句それは恵那の好物とか言っちゃったり、かき回してましたねw
源四郎が「これから暴れる!」って言ったときの良い計画を思いついたみたいな悪い顔が好きです。
大神さん:
コミカルなキャラクターではあるけど、結構いろいろ抱えてる人。
出生不明で大江に預けられて、大江も貧しくて彼を手離し、養父は彼の初陣で戦死し、左之助の食客扱いになった。と思い込んでいたので
結構いろいろと反発していたけど、実は大江の実の子で、だからこそ大江にいつまでも気にかけられていた。
彼を最後まで父として見ることはできなかったかもしれないけど、彼の中に少しは救いが生まれたのかなと思います。
大神さんの芸達者ぶりが光るキャラクターでしたね。
平山さん:
主人公の妻なんだからヒロインでいいよね? たぶん恵那がもう少し冷静に話を聞ければもう少しちゃんと話まとまったんじゃないかなw
でも左之助のことが大好きだから彼が武将ではなくなっても彼のそばを離れることができなかったあたりとかも良いですよね。
左之助に「お前の好物のゴキカブリが~」みたいなこと言われたときのリアクション良かったなぁw
春原さん:
決して言葉数は多くないんですが、その佇まいが良かったです。きりっとしていて格好良かったですし。職人気質って感じかな。
OPのときは福田さんがボーカルで、春原さんがギターのバンドみたいでしたけどw そういえば三味線もってないシーンなかったんじゃないかな。
静かなんだけど話は聞いてたりするのでいいところで三味線弾いたりして。実際に弾いてるシーンもありましたね。
添田さん:
一直線に暴れさせたら添田さんの右に出る劇団員さんはいませんね。猪突猛進が似合う素敵な役でした。
園が好きで、彼女が夫婦になると知った(小三郎が勝手に言ってただけだけど)とき塀の向こうで倒れて気絶してしまうのとか良かったですね。
ただ、「大将の首とったぞー!!」という回想のときの台詞はちょっと切ない。でも戦国時代だし彼の「偽りの者だと分かっていたけど、大将を倒したと思わせれば敵の戦意が落ちる」的な考え方って合理的なんだろうなぁと。
人を殺す職業ですからねぇ。
福田さん:
いつも以上に超絶イケメンだった。彼の一言からOPが始まったり、彼の職業が結果的に話の全てだったりオイシイ役でしたね。
舞ってる姿は本当に雅でしたね。将軍に重用されているけど変に偉ぶらず、菊の踊りを真似してみたりとか。
我らは刀を持たずに戦っている的な台詞も良かった。
高橋さん:
出オチで飛び道具w カタコトの外国人は「ロスト花婿」の小島ことりさんがやってた「ジョンJカラサワ」を思い出しますが、高橋さんらしさ全面に出たキャラでした。
「免職」って言葉が気になりすぎて真面目な話の間ずっと免職の意味を知りたがったりとか面白かったです。
あとはアイドル=暇であり崇拝の対象であると皆に説明する重要なキャラクターでもありますね。
中村さん:
管理人としてとにかくクビになった左之助を追い出したいけど色々なことに振り回される管理人。
とにかく強引になんとかして左之助を追い出そうするのが無慈悲な感じで良いですねw
大友さん:
豪快な兄と比べると似ても似つかぬ清楚女子?な感じかな。
大友さんが「珍しく普通の女子」みたいなこと仰っていたんですけど、確かにそうだなぁと思ったり。
今回、茂吉に好かれている(茂吉が長屋から出たくない理由は吉乃と会えなくなるから)んですけど、誰かに好意を寄せられているような役自体ボクラ団義ではあまりなかったように思いますね。
残念ながら今回の作品を持って役者を引退されるんですが、また今回も大友さんの魅力あふれるキャラクターだっただけに惜しいなぁと思います。
最低でももう1回は観に行ける予定なので、その勇姿を目に焼き付けたいと思います。
松嶋さん:
茶屋の娘だけど、すっかり良い女みたいな役が板についた松嶋さん。
いきり立ってる男性陣を横目に落ち着いて彼らをなだめるところとか大人な女性感とても良いですね。
今出さん:
百姓とはいえ話し方は1人だけ浮くくらい現代調。だけどそれが武士相手でもひるまない少女な感じが出てて良かったです。
「人を斬る武士は嫌いだけど踊る武士なら好きだよ」みたいな台詞が彼女の本心。これ以上自分たち一般人を巻き込まないでほしいというか。
この作品が有名武将が登場しない日常を描いているので、やっぱり百姓目線が結構メインというか重要な描かれ方をしていて
後世に決して名が残らない百姓だってそれぞれに人生があるという事実を、武将と彼女の会話で表現するというか。
これが一つのテーマかなと思いました。コメディの中にしっかりこういう話を入れてくるあたり考えさせられるかなと。
あのシーンが無ければ10割コメディな作品だったので、ちょっとそれがない頭空っぽで観れるバージョンもみたかったような気もするけれど。
それはさておき、田植え歌も良かったですね。久しぶりに人前で歌ったとか。
1分くらいの曲ですけど、サントラCDにも収録されているので、今出さんファンは必聴かと(笑)
加藤さん:
小間使いで家臣の中では格下?なのかもしれないけど、その甲斐甲斐しい感じというか下っ端感が良かった。
そもそも優しそうな顔をしている方なので、孫平治みたいな温和そうな優男?ピッタリですよね。
若狭さん:
初めての時代劇らしいけど貫禄のある上司キャラでした。基本は余裕ある感じなんだけど、小三郎のことになると理性を失って怒鳴ってしまうのも父親って感じで。
上司キャラの説得力あるお芝居で良かったです。
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本編ラストでは戦国アイドルとして沖野さん、竹石さん、大神さん、加藤さんによるスペシャルライブがありました。
EDとして流れるんですが、ちゃっかり歌で吉乃へ告白する茂吉w
あと面白くて、歌もノリノリなのに、何故か楽しくて涙が出てくるそんなEDでした。
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いつも安定して面白かったボクラ団義さんですけど、
個人的には久々に大ヒットな作品でした。
3年半ボクラ団義観に行ってて今まで1番近いところ観れたのも良かったなぁ。
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面会は大友さんになんとかご挨拶して帰りました。
以上。
後半、感想雑になってしまったなぁ。
前説の写真。

