<ネタバレ有>舞台「メトロノウム」17/06/28 感想 | イベント参戦日記

イベント参戦日記

イベント参戦日記出張版(mixiとほぼ同内容)

@日暮里d-倉庫

珍しい劇場?だな、と。

キャパ98人らしいです。

 

 

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キャスト

 

竹内尚文 水崎 綾 図師光博 中野裕理
門野翔 内山智絵 星璃 遠藤沙季
宮森セーラ 齋藤伸明 太田達也 松木わかは
澤田圭佑 斉藤有希 CR岡本物語 井上賢嗣
鶴愛佳 谷川華子 福岡みなみ 朝比奈叶羽
結城美優 出井景梧 岡谷未来 こはる
石部雄一 夢麻呂

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あらすじ

 

ぼくは眠たがりのヤマネ…ねむぅ…
アリスとイカレ帽子屋と三月うさぎとぼくは
おひがらもよく、みんなでいっしょに
ハートの女王をやっつけにお城にとつげきです。
女王は気に入らないとすぐ首ちょんぱが大好きで
勝手に時間ももどすし、めんどくさいのです。
おやすみなさい……
ここは19世紀の童話『不思議の国のアリス』をベースに作られた楽園。
時も空間も自由な不思議の国で
振り子のようにこっくりこっくり…
眠たがりのヤマネは目を覚ます。
「ここはどこ? ぼくはだれ?」
幾重にも重なりゆく、昨日見た夢と今日のデジャブ。
都市(まち)を覆う濃霧の向こう側、決して誰も抗えぬ支配が姿を現す。
DMFで10年前に上演された「早過ぎた名作」を
ENGが愛を込めてプロデュース。
演出するのは
「Second You Sleep」に続き福地慎太郎。
理不尽で幸福な不思議の国に閉じ込められた、もう1つの物語。

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とりあえずメチャクチャ面白かったです。

10数本しか観てないけど、今年一番といってもいいくらい。

不思議の国のアリスモチーフということなので、ファンシーな話だと思ってたんですが、台詞回しにはちょっとそんな感じの海外文学テイストがあったりもしたんですが(ミュージカル調?)、話はどちらかというとシリアスで。

だけど、物語の中で生きてる人物たちがとても楽しそうにしていたりして。

タイトルの「メトロノウム」も、人々が作り出した楽園の総称のようなものなんですが、人が死んだときのデフォルメとして首を左右にメトロノームのように動かすんですよね。で、それがラスト、ヤマネの姿を使ってアリスの世界に入っていたニビィが世界を壊すときになると、登場人物全員が首を左右に振り始めて、世界が壊れることを表現しているんですけど、そこで最後に少しだけ首を振るのをやめて皆で手を振るんです。左右に。メトロノームのように。

もうそこが涙腺ヤバかった。今書いてても泣きそうになるくらい。

もう本当に「メトロノウム」というタイトルだけで泣けてしまうような作品でした。

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そんなシリアスな話なんですけど、序盤は自分の役割を演じている(ことは知らないけど)登場人物たちの愉快な冒険の話。

敵も味方も愉快なキャラクターばかり。

でも中盤以降、ヤマネが同じ事を何度も繰り返していることに気付き、外の世界を知り、自分は人間で、他の登場人物はフィギュアと呼ばれる楽園の中にのみ存在するキャラクターであることを知り、アンツと呼ばれるその世界を壊そうとする連中、総市長とダイナというアンドロイドの正体を知り、などなど。

結構複雑な話なんですけど、でも観れば話を理解できると思います。

こうして書くことできてないんでアレなんですけどw

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先月観にいった「ももがたり」で鬼たちが主人公として描かれていたことで桃太郎が敵のようだったけど、でも決して悪い奴なんていなくて、みんな自分の正義や信念のために戦っていた、みたいな感じで

今回だって人間をメトロノウムの世界に閉じ込めているが全ては人間の喜びのために存在しているアンドロイドも、そんな世界を壊したいと思うアンツも誰が悪とかではないので、それがまた切ないんですけど、それぞれに感情移入できるような素敵な作品だと思います。

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竹内さん:ヤマネ(ニビィ):最初はぬるい紅茶でしか覚醒できないとか起きるとき「カフェイーン!」と叫ぶとか面白いキャラだったんですけど(この「カフェイーン!」はアリスと一緒にシュクガが考えたものだったので、このシーンあとから思い出すと相当切ない)、終盤色々なものに板挟みになりながらも自分の気持ちを優先して行動する姿は格好良かった。でも、主人公なんですが、アリスの世界での主人公はアリスだし、外の世界ではシュクガが主人公となるのだろうし、2人の主人公を繋ぐ主人公というか、なんとも不思議な役回りでしたね。

 

 

水崎さん:アリス:冒頭からアリスのファンタジー感がまさに表現されていながらカキコに対して「生臭」って笑顔で言えちゃうブラックな感じが水崎さんにしか出来ない役だな、と。終盤、明らかになっていくアリスやシュクガの過去のときの辛そうな感じも上手かった。

 

 

図師さん:シュクガ:この物語をアリスと一緒に考えた人物。世界の中ではビャクヤとしてヤマネたちと接触。最初は子供のように「僕の作った物語面白いだろ」というようにヤマネに近付いてくるんだけど、アリスとの過去がどんどん明かされていくうちに彼の黒い部分がどんどん明らかになって(黒というか灰色かな)その切なさを図師さんがまた見事に表現されているんだな。コメディやらせても上手い図師さんだけど不思議なキャラクターも上手いし、シリアスも抜群に上手いんだなぁと思った。あの腕を口に押し上げて絶叫するシーンとかすごい辛かった。

 

 

中野さん:イナバ:時間を戻せるフィギュアなので重宝されるし、中野さんのキャラクターなのでとてもコミカルで面白かったのだけど、終盤アンツがイナバに侵入してきてからアンツ軍の主役となって動き回っていました。あのガラッと表情が変わる感じ好きだなぁ。

そういえば、ダンスの振り付けの話。バク袖も確か中野さんだったと思うんですけど、中野さんの振り付けってショー感があるというか華やかというか、小さな舞台上を大きく見せるようなダンスだなぁと思います。今回のダンスもとても魅力的でしたし、あのOPダンスで「あ、これ傑作になるわ」って思いましたw

 

 

門野さん:チェシャ:世界では独自の行動をしている謎の存在だったんですが、その正体はアンツで世界を壊そうとしていたという。だけど、メトロノウムを守る者たちにやられてしまって、イナバの中に入った孫のリデル達に託していくというような。謎な感じの時の存在感と軽やかな身のこなしが流石でした。

内山さん:ユニコ:彼女も途中からアンツが入り込んでた。けど旦那もどこかに入り込んでいると知り、会えたときは良かったけど、切ない最期を迎えることに。内山さん、鶴さん、谷川さんはアクションもあったんだけど、結構動いてて凄かったです。

星璃さん:ビャクヤ:=シュクガ。普段から格好良いもいろいろされてますけど、最初彼だと気付かなかったくらいいつも見るような役と違ってビックリしました。格好良いし。ただアリスの過去が明らかにされていく中で壊れていってしまったけれど。ハンプティを倒したときはどういう気持ちだったのかな。

遠藤さん:ヒイ:外の世界、アンドロイドの総市長。アリスの世界では赤の女王。アンツを死人と呼ぶが、アンドロイドは人を殺せないので、アンツを殺すことができなかった。ニビィに指摘されましたが、アンツでも人間であると最後まで思い続けた。人からしたらたまったもんじゃないキャラなんだけどどこか憎めない人物。なのは、やっぱり遠藤さんの演技力の賜物なのではないかと。小道具のティーポットとても印象的でした。

 

 

宮森さん:クイーン:これがまた魅力的なキャラでしたね。口癖は「首をハネるのじゃ、われえ」みんな言うこと聞いてくれるし可愛くて綺麗でわがままで泣き虫。ある種アリスの世界のラスボス。なので、終盤はクイーンを利用したもの勝ちみたいな。天真爛漫なわがまま姫な感じがぴったりでした。おっぱい。

 


齋藤さん:ダイク:セイウチの子分。途中からアンツだったセイウチに相手にされなくなってしまうけど、ジャバウォッカだったかなダイクを手にかけようとしたときに「仲良い設定なんだろ」とセイウチが守るところ熱かったです。また、カキコを持ち上げるところ面白かったです。サンガツウサギに「ホモだー」って言われたとき一瞬素で笑ってしまっていたような?w

太田さん:キング:アクションはこの方のアクションが1番好きでした。とても身軽に動かれていて、最後死んでしまうんだけど、「あぁ!」と残念になるくらい。作中誰も敵わない必殺技も良かった。誰にも触れずに全体攻撃できるとかいうチートw

 

 

松木さん:ポーシャ:この作品を観て、改めて松木わかはさんのファンで良かったと思えました。それほど素晴らしい適役だった。

イカレ帽子屋ということで嘘ついたりオーバーリアクションだったり、相当個性的な役だと思うんですけど、松木さんを知らないお客さんがいたとしてもきっと釘付けになってしまったと思います。「嘘~」って言いながら帽子をとったときに変顔?だったり、カキコを恫喝するときとかとにかく表情がとても魅力的。表情の豊かさは過去作品でも堪能できたんですが(と言っても僕が観たことあるのってマリとか細宮くんとか田岡さんとかクールな役が多いので)、松木さんの目を見開く表情が凄い好きなので、これでもかと表情で演技する松木さんを観れたのが本当に良かったです。流石にアリス関連作品を多く演じられてきたということなので、その経験でしょうか。ダンスのステップも良かったです。ご本人はジョニーデップを意識していたらしいですが、生憎観たことが無くて…w

あと「なんでもない日の歌」の元ネタがあったこと最近知ったと面会のときにお話しましたw

 


澤田さん:ジャバウォッカ:アリスの世界の守り人、でしょうか。勝っても負けても表情を変えないまさにデータのキャラクターなんですが、その強さが良かったです。

斉藤さん:サンガツウサギ:ポーシャとアリスと行動をともにするメインキャラクター。終盤は時間を進める能力が判明し、色々なキャラに利用されたり。しかし、あれが「ももがたり」で月鬼やってた斉藤さんなのかぁ。全然印象違いました。

岡本さん:ハンプティダンプティ:ある種この作品一番の爆弾でしたw 世界に4体いると言うことで一人四役なんですけど、全部全く違うハンプティを見事1人で演じられていました。あの変わりようは本当に凄い。

余談なんですけど、去年1番好きだった作品がバク袖で今年のBest2がこの作品と桜花追憶なんですけど、岡本さん全部出てる…。しかも1本話書いてる。

 

 

井上さん:セイウチ:体格のいい井上さんらしい役柄でしたし、アンツとしては妻を亡くしたあとの悲しさがとても切なかったです。ダイクはただのフィギュアなので死を認識できない(寝てると思ってる)ってのがまた対比されてて。しかし、セイウチなら本当にカキコ食べちゃいそうだなw
鶴さん:イモムシ:セクシーなキャラでした。でもアンツなので戦うっていう。これもまた鶴さんだから成立したような役だったんじゃないかなとおもいます。

谷川さん:コーシャクフジン:目立たないキャラクターではあると思うんですが、節々結構活躍してたり。っていうか彼女も結構戦っていたような。いつの間にかなんとなく彼女を観ている、そんなような方でした。

福岡さん:赤の女王:これがまたすごい。総市長のアリス世界での姿なので、作中1番強いと思います。全部の動きを遅くしてしまう。あのチェシャがなす術ないくらい。そんな最強感を福岡さんが見事に表現されていましたし、感情のなさそうな何考えてるんだかわからないようなキャラクターも、福岡さんに対して先入観がない状態でこの作品を観れたのも良かったです。アクションはやや大変そうでしたけど、セクシーでクールとかいう好きなキャラクターでした。おっぱい。

 

 

結城さん:カキコ:カキコちゃんは本当に可愛い。疑うことを知らないので何回も食べられちゃいそうになるし、助けてくれた人に「生臭」とか言われるし、だけどそんな中で健気にたくましく生きようとしている姿が良かったですし、結城さんの声がまた素敵でした。カキコちゃん本当に可愛い。

朝比奈さん:セブン:トランプ兵の中で1番好きなキャラでした。語尾は「~セブン」(たとえば、「~していませぶん」みたいな)個人個人行動してるとき精神統一とかしてたり、強そうな雰囲気出してるのに他と対して変わらない感じは面白くもあったけど、クールな感じで良かったです。

出井さん:テン:語尾は「すいまテン」とか。唯一の男性トランプ兵ですけど、真っ先に大砲の弾にされるし、クイーンに首ハネられるし、基本不遇キャラかも。だけどそれがまた語尾に合いまわってキュートなキャラでした。男性ですがw

岡谷さん:ファイブ:途中の言葉で「ごー」とかを強調してた感じです。魅力的な表情の演技でした。

こはるさん:ツゥー:何故かジャックに寵愛されているトランプ兵。だけど、ジャック以外からの扱いは他の兵士と変わらず。語尾は「しまツゥー」とかそういう。トランプ兵は正直見る前はモブみたいなもんだと思っていたんですが4人ともそれぞれに個性があって、その個性を役者さんが十二分に広げていたので全然モブじゃなくて、登場が楽しみなくらいでした。
 

 

石部さん:ダイナ(RK):まさかの給仕で出てきたので凄い石部さんの使い方だなと思っていたら仮面の男としてアリス世界にも登場。ももがたりでもそうでしたけど、石部さんのアクション凄いですよね。存在感のあるキャラクターだった。RKの分身技ではもう1人のRK役として門野さんが演じられていて、戦ってる相手が中野さんだったのでチェシャ、相手は孫やで!と思ったり。

夢麻呂さん:ジャック:インパクトの強い作品の中でも強烈にインパクトの強いキャラクターでした。もうジャックあってのトランプ王国?といってもいいくらい。KYなんですが、それがまたどこか憎めなかったりして。素敵なキャラクターでした。

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キャパのせいか知らないですけど、席も前の方だったし

最初のほう台詞がこもってるというか反響して聞こえづらかったんですが、中盤からそんなこともなくなって

見事130分の作品にどっぷりはまってしまいました。

 

 

たぶん舞台を初日に観に行くのって初めてのような気がするんですが

トリプルカーテンコールが起こりました。

これがどれだけ珍しいことなのかわかりませんが、

それほどの価値のある作品だったと思います。

 

 

これが10年前に作られた作品であるとは思えないクオリティ。

もちろんリメイクされているんだと思いますが。

また観てみたくなる本当に素晴らしい作品でした。

出会えて良かったです。

 

 

 

※追記

どうでもいいっちゃどうでもいいんですけど

今年観にいった作品に出ていた今回の作品の出演者さんたち。

 

 

竹内尚文、斉藤有希「ももがたり」

水崎綾、門野翔「飛ばぬ鳥なら落ちもせぬ」

図師光博「市と惣左の恋ひ慕ふ」

松木わかは「THE IDENTITY ORDER」

石部雄一、井上賢嗣「ザ・ロンゲスト・スプリング」 

宮森セーラ、中野裕理、齋藤伸明「越美鉄道」

CR岡本物語「桜花と風の追憶」

 

 

個人的には上半期を総括したオールスターキャストでした、と。

良い上半期の舞台納めになったな。