ボクラ団義さんの舞台を観に行ってきました。
タイトルは「シカク」
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◆あらすじ
雨の降る日、一人の女が突然男に襲われた。その日加えられた暴行により、女は誇りばかりでなく視力までも失ってしまう。雨の降るその日以来、女は永遠の暗闇に包まれることとなった。
女が運ばれた病院に駆けつけたのは、三人の男だった。三人の男達に一人の女を加えたこの四人は、それぞれ抱えた想いを持って、一つの空間で会話を重ねることになる。全員の運命を決定的に変えることとなる、一日に向かって。
ボクラ団義本公演第十五弾は、ボクラ団義の新たな挑戦となる異形のほぼ四人芝居!
舞台に立つのはたった四人、ではなく、主に会話を重ねるのがたった四人。
それぞれの想いと過去と未来を抱えた者達により形成される『四角』が 、一つの空間で様々な角度を見せ付けあう。
普段『視覚』に頼る人間が、『死角』を感じることによって生まれる超会話。
『会話』と『静』が織り成す、出演者全回替わりのサスペンス超会話劇!!
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◆キャスト
これは前説で主宰が仰っていたのですが、全19パターンのナインティーンスキャストのうちの1回で
今回は男Aに添田翔太さん、男Bに沖野晃司さん、男Cに佐藤修幸さん、女に大友歩さんでした。
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◆箇条書き感想
・前説に平山空さんが初登場。(今回の舞台というだけではなく、前説史上初登場だとか。)
・ただし、静かな劇なので空腹を紛らわせてほしい、と希望者にカンパンを配る際に音響設備を倒してしまう平山さん。
・そしてそのあとに始まる舞台装置に触らないでくださいの説明w
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・舞台はほぼ4人劇。基本4人で会話を繰り広げていき、ちょいちょい他の劇団員さんがモブキャラで登場。
・福丸さんと大音さんだけ役名がついていて毎回同じ役で出演されるそうです。
・最初は暴行を受けて失明した女性と、付き合っていたものの別れを切り出す男A、そのあと女にアプローチをかける男B、そして女の兄で刑事である男Cで何故事件は起きてしまったのかを中心に繰り広げられます。
・しかし途中から雲行きが怪しくなってきて。Aが別れた理由、Bが女を好きだと言った理由などについてややシリアスな感じに。
・その後未来を提示されてから、過去に戻り真相がだんだんわかっていくんですが、それがまた圧巻。
・結局、この事件は男Bが女をものにするために起こした事件であるということがわかるのですが、そこでわかる新事実。
・女は失明もしておらず、男Bが犯人であることに気づいており、復讐をしようとしていたんですが、時々舞台が暗転し声だけが聞こえるシーンがあるんですが、真相がハッキリするとそのシーンを今度は明るいまま再現。
・その時の恐怖たるや。
・男Bが犯人であると確信した女はその前からそっけない態度をとってはいたんですがそこで「澤田さん(男B)逃げるなら今のうちですよ」みたいな台詞を言う。
・最初の時は、澤田の行動が誤解されますよ、的な意味合いで言っていると思った台詞が実は女(愛佳)にとっての最後通告だった、というか。
・その後もまぁ二転三転して、男C(尽八)は愛佳の血の繋がった兄弟ではないことがわかるし、尽八の父親は何故死んだのか、澤田とは一体なんだったのかというようなことが明らかにされていきます。
・元々胸を押さえているシーンが多かった澤田は心臓病かなにかで余命短いから愛佳のために死ぬことを選ぶのかな?と思っていたらとんでもない。
・尽八には双子の弟・栄太がいて2人して愛佳を好きになってしまった、そのため尽八は栄太を殺そうとする、しかし栄太に返り討ちにされてしまった。尽八は尽八ではなく、実は栄太だった。
・脳死に見せかけて殺した尽八の心臓はある人物に移植された。それが澤田だった。澤田には移植された際に尽八の記憶が備わった。そのせいで全てに澤田は気付いてしまった。
・そして男A(氷川)も含めた4人は全てを知ってしまい、それでも今まで通りに生きていくことにした。そして澤田が死ぬ日。
・澤田が最後に言い残した「俺にシカクはない」これは序盤のシーンでは愛佳を殺そうとした自分に生きていく「資格」がないと言っているように聴こえましたが、最後全てが明らかになってからだと氷川が言うんですが「俺に死角はない」というような全てを見通した彼の結末、といった風に違った印象が見えてきました。
そんな感じかな。今回今まで見た作品の中で1番複雑なので(今まではどんでん返しした衝撃は凄かったけど、思い返せばなるほどなと思えたんですが、今回はちょっと理解しきれなかったかも)感想も今まで以上にわかりづらいかと。
あと以前の舞台ではあったのかもしれないけど、ボクラ団義さんで色恋ネタ(話の中心としての)や近親相姦ネタ(血の繋がりはないけど)などがあったのがちょっと意外。
まぁ、僕が見たことある現代劇ってコメディの「ゴーストライターズ!!」だけですからね(今日DVD買ってきたよ、ようやく)。
んー。とにかく見てくれとしか(笑)
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◆役者さん一言感想
・添田翔太さん
唯一作中で血縁関係がないキャラクターなんだけど、2年間愛佳と付き合っていたということで初めて彼女の嘘に気付く人間。
(ちなみにそれは嘘をつくときに首を上下させる、というもので、たぶんそれを意識した演技を冒頭からしてたのかなと思うとまた観たいという感じ)
一歩下がったところにいる人物なので、淡々と話していくタイプなんですが、それが添田さんの声質にピッタリ合っていました。
これを割とメインでやられているのは竹石さんみたいなんですが、竹石さんの氷川はイメージがあまりわかなくて。(それはそれでとても素晴らしそう)
添田さんが劇団員さんの中で1番合ってる役だと思います。
ただ、やや噛む回数が多かったのが残念かもしれない。電話のシーンで盛大に噛んでいたのが勿体無かったな。
「今日を千秋楽にしたくない!」と叫んでいたのは投票回に選ばれたいと言うことは勿論ですが、相当悔いの残る回だったんじゃないかと思います。是非選ばれてほしいです。
・沖野晃司さん
ちょっとワイルドでちょっとヌケてるイケメン。これも沖野さんと加藤さんが二大巨頭で演じるんですが、加藤さんのイメージがわかない。
というか沖野さんのための役なんじゃないかと思うくらいハマっていた。っていうか正直、今日の4人のための当て書きですよね?ってレベル。
心臓移植云々はさておき、澤田みたいな人って結構いそうだなぁとも思ったし、その後の非現実的な話も沖野さんだからこそ説得力があるし、魅せられる。
もちろん加藤さんは加藤さんできっと別の澤田を演じられるんだろうなぁという見たさはあります。
舞台上だと沖野さんって凄く大きく見えるんですよ。1番小柄(たぶん)な大友さんと並ぶシーンが多かったからかもしれないですが。
でもあれはオーラだね。パンフ見たら175㎝らしい。僕と3㎝くらいしか変わらないのに、舞台上の沖野さんは180㎝を超えるような人に見える。
それは今回の澤田という役を演じる上でにじみ出るオーラだよ、絶対。本当に凄い役者さんだと思います。
そんな沖野さんのまた違ったコミカルな演技を今日買った「ゴーストライターズ!!」でいつでも堪能できる嬉しさね。
あ、そういえば動いていて急に静止しなきゃいけないシーンでピタッ!と、文字通りピタッと止まったのが凄かった。役者さんにとっては当たり前なのかもしれないけど、一時停止ボタン押したかのような感じで。プロってすげぇなぁと思いました。
・佐藤修幸さん
刑事であり兄という頼れる存在の人。妹と台詞上では5つくらいしか変わらないように感じたんですが実際には大友さんと8個9個違うはずなのでやや違和感はありましたが
それは細かい設定の話で、頼れる存在感を出させたら今回の出演者の中ではきっとナンバーワンだと思いますので、それはそれで。
常に飄々としていて唯一明るい存在かと思いきや衝撃の真実が明らかになるわけですが、そのちょっと明るい理由もまぁ全てを知っている(つもりでいた)からだし。
でもその飄々とした感じが妹が失明した現場にいるには似つかわしく無くて、その雰囲気は真実がわかる前からゾクゾクさせられました。
中盤以降のシリアスな雰囲気のシーンでガラリと雰囲気が変わる尽八も怖かったし、最後の全員泣いてるシーンで一人だけ泣き笑いしてるのも狂気。
・大友歩さん
失明した(と嘘をついていた)女性。そういえば、事件が起きる前の愛佳ってどんな人物だったのかわからないなぁ、あまり。
(客演出演だったこともあるのか、あまり劇団員たちとは元々仲が良くなったのはわかるけど。それでも福丸さんには秘密を説明し、殺人幇助を依頼しているので、弱みを握っているのか福丸さんとは親しかったのか)
目を隠した状態で登場するんですが、その姿が沖野さんの反対で実際よりも小さく見えて、これもまたオーラだなぁと思いました。弱々しい感じがとても。
最初の健気な感じとか、あまり知らない人から触れられることに対する少女のような怯え方とか、それこそ中盤以降のしたたかさとかそれが凄く表現できていて凄かったです。
今までファンタジーや時代劇でしか大友さんを見たことありませんでしたが(SF世界の刑事役なんかはあったけど)、現代劇で見る大友さんも新鮮で良かったです。
それにしても女性のしおらしさみたいなものは小柄な方なのでピッタリだし、中盤以降復讐者の一面を出すときの叫びとかも声質に合ってるし、そもそも大友さんの声が好きだわ。
これもまたやっぱり大友さん以外のイメージがわかない。(パンフ読んだら春原さんの愛佳もとっても興味出たけど/まぁもう出演回終わっているけど)
っていうか素人の僕が言うのもなんなんですけど、この1年の大友さんの伸び方って本当に凄くて。そのうちボクラ団義作品の大人数芝居でもヒロインやるんじゃないかなって思うくらいポテンシャルが高いと思うんです。
それが十二分に発揮されたのが今回の舞台だったように思います。目隠ししながら歩くのは一部でも見えてるのかなぁ、凄いなぁと思った。
あ、あと澤田と歩くときに頭をクシャクシャっとされてはにかむのがとても可愛らしかったです。まぁ、その時点で愛佳は澤田が犯人で澤田が死んだ兄の生まれ変わりのようなものと知っているわけだけれども。
※追記(12/24)そういえば目が見えないと思われていた状態のとき、角度の問題かもしれないけれど僕の座っていた場所からの大友さんの目は本当に翳っているようにみえたし、復讐を誓って生きていくとなったときには目に生気が戻ったようにみえたし、もしかしたら意図してやってるのかなぁと思った。見えない演技って相当技術がいると思うんですが(例えば反射的に物を避けてしまったりとか)とても自然でした。白杖を持っているときも目は隠してないけど本当に見えないような演技をされていたし。凄かった。
とにかくおそらくこの回しか観に行けないとは思うのですが、この4人の「シカク」を観に行けて本当に良かったと思います。
ただ、これがきっと別の4人の「シカク」を見るとガラリと感想が変わるんでしょうね。面白いなぁ。
・福丸繚さん
出番はあまり多くないけどそこそこ重要な役。
倒れるシーンは相当苦労したらしいんですが、全然自然でした。
・大音文子さん
今回は看護師として終盤までちょこちょこと出演。基本シリアスな話なので、唯一コミカルなキャラクターでした。
たまに出てくる川中島さんに癒されました。しかし似合うなぁ看護師。
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といった感じ。なんやかんや飛び飛び2時間以上記事書いてたので一行前と文章が噛み合わないかもしれないけど了承ください。
しかし、3か月後には本公演あるし、DVD買ったし。これからも相当楽しめるなぁ。
都合がつけば2月の大友さんの客演も行ってみたい。
2015年もそんなボクラ団義の活躍楽しみだなぁ。
興味ある方、是非一緒に行きましょうw