クモ膜下出血あとの症状

主訴は腰痛とクモ膜下出血の後遺症だと言った。
この大柄な40代男性は暴飲暴食を繰り返し
ここ数年で20キロ以上太ったらしい。
そしてクモ膜下出血。
後遺症は殆ど出なかったのだけど
残ったのは感覚異常だった。
　
腕を自分の反対の手で撫でると、
自分が触った感覚ではなく
誰かに触られた感覚がする為に緊張が抜けないとか、
仰臥位で左半身がいつも浮いている感覚があるとか、
右を下にして寝れないとか、
見た目はそんなに目立った症状はないものの
本人はそんな感じの症状とも闘っていた。
　
またこんなことも言っていた。
クモ膜下出血後、左半身の問題が
出たんだけどその頃から
「自分の中に2人いて右を動かす時に命令をする脳と
左を動かそうとする時に命令する脳が
バラバラになっちゃったみたいなんです」
と言った。
　
つまり指令系統が乱れてしまい歩行も
うまく行かない時期があったというんだ。
　
腰痛は2分で良くなった。
問題は異常感覚だった。
左半身が浮いている感じがする症状は
徐々に良くなっていき、
最終的には背中全体はしっかりと
ベッドに付いていると言い、
フクラハギも付いていると言ったけど
大腿部は浮いていると言っていた。
　
大腿部にスキマがあるのか？と思って左右
比べてみても同じようにベッドに付いていた。
検査でも左右差がなく問題無さそうだったが
これが感覚異常なのかどうなのかは証明しようがなかった。
　
また上肢の触れらている感じが他人で
緊張しちゃうという症状も無くならなかった。
しかしバンザイした感じも首の伸展も
正常になり検査上の問題は無かった。
　
ちょっと悔しかったのだが今の俺には手が無かった。
大腿部の浮いている感覚だけが残っていたのに対しては
余りにも悔しくて考え続けているうちに理由が分かった。
これはきっと解決できるに違いない。
　
クモ膜下出血かぁ。
次の患者さんが来るまでベッドに横になって
手を後頭部で組むようにして仰向けで寝てみた。
頭を掻くついでに頭部の一箇所を指圧のように刺激してみた。
　
するとスーーーッと鼻が通った。
こんなことあるの？ってくらい
鼻が通り呼吸が楽になった。
顔面神経支配の筋肉から
そうか脳神経にはアプローチ出来るじゃないか！
と思った。
　
自分の鼻が通ったのは数年ぶりだったんだ。
これはちょっと衝撃だった。研究できる内容が
増えてちょっと幸せすぎるんですけど〜。