五十肩と追突事故以来ムチウチの症状が治らない。

チェンライから来た男性は五十肩と
追突事故以来ムチウチの症状が治らない。
首の痛みにも悩んでいた。

時々吐き気をもよおすほど後頭部の方から
側頭骨にかけて締め付けられる症状が出るのだといった。
　
腰痛研究所にやってくるなり彼の姿勢は
随分とおかしな印象を受けた。
左肩は上がっており対側よりも肩幅は
狭くなっていてカラダも傾いていた。
背中をチェックすると左の背中がボッコリ
盛り上がり指を対側に三本置いて
丁度イーブンになる高さだった。
　
1年に2、3度ギックリ腰を繰り返し
立てなくなることがあるという。
　
首の伸展（上向く動作）は
30度くらいしか向けなかった。
今回の主訴は肩なんだけど全体で直して
いかないと肩は良くならないと思った。
カラダの歪みはKYTですぐに良くなった。
　
しかし肩の傾きがシナリオ通りに行かなかった。
膝立テストのマニュアル通りに圧痛はあるものの、
それだけでは足りないようだった。
楽しい。実に愉快だ。学べるって素晴らしいな。
　
カラダの傾きは、つまり側弯していた
背中の突っ張りはすっかりイーブンになったのに
未だ肩幅や右肩の上がり具合が変わっていない。
これはカラダの傾きからくるものではなく
五十肩が五十肩すぎて肩周辺の問題を
起こしていることを表しているのだ。
　
俺は五十肩にアプローチを始めた。
施術前よりも上がりはイイけどカツンと
60度付近で止まってしまっている。
この引っかかりは癒着だと取れにくい。
いや取れないだろうな。剥がれない限り
構造的にそうなってんだからさ。
　
で、上げさせてどこが痛いのか聞くと
意外にも首だと言った。
つまり肩甲骨が動いていないんだ。
　
さまざまな角度からアプローチを開始して
最終的には80度くらいまでスルスル
上がるようになっていった。
　
それでもカツンと止まっているのを見て、
「まいっか」
って俺はいっちゃった。
だって本人も納得の80度だったし
追っかけ施術してもイイことないからね。
　
さて、腰痛研究所の収益は
孤児院などへの寄付と考えている。
一人の坊さんが数十人の孤児達を育てている。
しょうもない坊さんもいるんだろうけど
この坊さんは素晴らしい人格者だと思った。
自分の私財で孤児院と学校を運営し
国からの派遣の先生は2人だけで、
それでは事足りず自らの働きで寺の収入で
先生をもう3人個人的に雇い運営していた。
　
俺はバンコックに来るたびに
少しずつ寄付を貯めていっている。
そろそろまた米を1トン程持って
訪問して驚かせてやりたい。
なんせ食べ盛りだ。孤児達の血となり
肉となるならこんなに嬉しいことはない。
　
患者さんの施術の先に社会貢献があるなら、
きっと神様も施術を手伝ってくれている。
そんな気がしてならないんだ。