脳卒中を専門にしている医者ですが、自身の前立腺癌の経過を記録していきながら、治療法など解説していきます

”愛おしいこの世で使命感を持って毎日を死ぬまで生きる” の実践はなるのか

T3bN0M0、ステージC、グリーソンスコア(4+4=)8、PSA131、自覚症状なし、2024/1/25から治療開始

 

入院中に日々ブログで発信しようと思っていましたが、旅行記と異なりなかなか難しかったので

退院後の今、落ち着いた状況で入院治療の総括を記録していきたいと思います。これから治療に臨む方の参考になればと思います。

今回は手術に関する事柄です

 

6月14日に手術して6月22日に退院しました。特に失禁とかの後遺症はなく比較的元気でしたので、さらにこうゆう性格でもありますし、6月24日月曜日から大阪の病院へ出勤開始しました。(九州の病院から勤務地変更に関しては後日報告します)

若干の腹部のハリ感と頻尿がありますが、半日は引っ越しお部屋探し、午後から医師との面接などしています。

 

さて、今回の手術

下記のパンフレット写真のようなda Vinci Xi(米国インテュイティブサージカル社)というロボットがコンソール内での術者の手の動きに同期して手術するものです

絵では患者さんは平らに寝ていますが、実際は25度頭が下がった体位で手術が行われます

 

今回の自身の手術ですが

6月14日金曜日朝10時から麻酔開始予定でしたので、朝に手術用の紙でできた浴衣みたいなものに着替えて看護師さんと一緒に歩いて手術室へ向かいました。手術室に入るとドクターやら看護師さんやら技師さんでしょうか、いろいろな色のスクラブ(最近の医療者がきる作業着みたいな服のこと)着た人が8人ぐらい部屋にいて一斉に自分の方見るので少し恥ずかしい。

手術台に横たわるとすぐに左手の甲から点滴の針挿入。

頭の周辺でなんやらガチャガチャした後に「今から麻酔しますので、点滴のところが痛みますよー」と

静脈麻酔薬プロポフォールは血管痛があるので痛みを感じたらすぐに眠くなるはずです

が、全然痛くなりません。

「あれ、痛くないぞ、入ってるんかなー?」の”かなー”のあたりで意識がなくなりました。

言葉で書くと”意識がなくなり”、ですが、本人は「かなー?」の次の瞬間が「○○さーん 手術終わりましたよー、わかりますかー?」で、”うつらうつら”とか”眠いなー”とか夢とか全くなくて、本当に次の瞬間でした。

 

実際には私が眠った後には筋弛緩薬が打たれて呼吸が停止して、喉に金属の金具(喉頭鏡)を差し込まれて声帯を確認しながら挿管チューブ(気管までの入れる管)を入れられ、体を固定されて”逆さ磔の刑”のような姿勢になって、お腹を切開して、ビニールで覆われたロボットのアームが私を覆うように抱え込み、主治医のI先生が一生懸命に手術して、終わると麻酔を覚まして挿管チューブを抜く、こんなことが午後5時前までの6時間私の体に行われていたはずなのですが、全く”無の世界”としか言いようがありません。

 

術後は当日から翌日までは麻薬系鎮痛剤フェンタニルのせいでぼーっとしながら吐き気に襲われて数回嘔吐、多分術後出血があって貧血が進行して日曜日の夕方までは苦しくて食事も歩行もできない感じでしたが、それ以降は元気になりました。

お腹の傷はお臍の上の3㎝の傷以外は小さなものが5か所、特に痛くありません。

 

尿道カテーテルを1週間留置するので夜間にトイレに行く必要がないのでよく眠れますが、日中は持って一緒に行動しなければならないので少し面倒です。期間中に尿道の違和感はありませんでした。

術後数日は思ったより体は苦しくて、死ぬんじゃないかと思うこともありましたが、元気になれば消化管は切っていないので食事も普通に食べることができますし、傷も小さく痛くないので、あまりお勧めは出来ませんが退院後はすぐに働けます。少しお腹が張る感じがありますし、尿漏れしたらどうしようと思って念のために尿漏れパッド使用するので、自宅でしばらくはのんびり療養したほうがよいでしょうね。

今後の治療は、手術摘出した癌の広がりを病理学的(顕微鏡で細胞を検査すること)に調べて、前立腺摘出周囲に癌細胞が存在する可能性(断端陽性)があれば術後2-3か月後に放射線治療追加(サルベージ放射線療法SRT)を念のために行うことになります。まあ断端陽性でもその後のPSA再発率は約40%程度で、その後にでもSRTすれば90%軽快しちゃいますけど。考え方次第にはなりますが、断端陽性の時点でSRTしちゃったほうが先の長い患者は安心ではないかと思いその方針です。SRTは外来通院で可能です。

 

今後、入院総括は 入院環境、死の覚悟 の内容で3回の予定です

 

2023/11/23 131(がん検診) 

2024/1/25から内分泌療法(CAB)開始

2/8     37.686

3/7     0.937 (薬疹でアーリーダ中止 ステロイド短期間内服)

4/4               0.192 (ビカルタミド開始)

5/2     0.110

5/30       0.058 (術前最終値)

6/14    ロボット支援下前立腺全摘除術 (ビカルタミド終了)