脳卒中を専門にしている医者ですが、自身の前立腺癌の経過を記録していきながら、治療法など解説していきます

”愛おしいこの世で使命感を持って毎日を死ぬまで生きる” の実践はなるのか

T3bN0M0、ステージC、グリーソンスコア(4+4=)8、PSA131、自覚症状なし、2024/1/25から治療開始

 

5月29日夕方に九州から京都に帰ってきて自炊して就寝。先週末に飲酒続いたので平日はアルコールなしで過ごしていました。

翌日30日は午後から術前検査なので午前中絶食して電車で病院へ。

12時から検尿、採血(術前なので感染症検査など8本採られた)、心電図、呼吸機能検査(筒みたいなもの加えてフーーーッとはくヤツ)、心エコー、胸部と腹部単純X線写真。

最後に胸腹部CT(単純+造影)。

治療開始前検査で経験あるので、さほど痛くないとわかっているのでリラックスしてCT室に入りました。

単純(注射前)CTのあと看護師さんが入ってきて造影剤点滴用のルート(点滴の留置できる針を入れること)確保なのですが、静脈が出にくいらしく焦っているようで、なんとかルート確保して造影剤注入装置に管をつないだのですが、看護師さんと放射線技師さんが急にバタバタ慌てだして「痛くないですか?気分悪くないですか?」 なんともないですと答えたものの何か起きたんじゃないかと心配に。そのまま造影CTをスーッと撮影して終了。

終了後に看護師さんが「コネクターから造影剤が漏れて腕が濡れてしまいました。ごめんなさい、でも検査は無事にできました」と。できたんならいいですと起き上がったら左腕から背中にかけで濡れている。冷たいなーというと看護師さんがすぐにタオルで拭いてくれましたが、その後はニチャニチャしたままで気持ち悪かった。

 

その後1時間半ほど待って泌尿器科診察室へ

I先生「PSAもさらに半減して順調です。術前検査も異常なし。術前の最終のCTでも前立腺癌が治療前より縮小していて順調です。予定通り6月14日に手術です。勃起神経は右側だけは残します」

私「安心しました。よろしくお願いします。退院は何日ごろでしょうか。院長職は今月で退任しましたが次の仕事をいれていきたいので」

I先生「術後1Wでバルン(尿道カテーテルのこと)抜きます。その後に退院可能ですが、退院日は私のほうでは決められないんで…ムニュムニュ…。看護師さんに希望日言ってください」

私「えっ??  あー!ベッドコントロールですか!そうですよね、わかります。それを根付かせるのが今の私の仕事なのでよくわかります。ご苦労様です」「ところでネットで読んだのですが、前立腺摘出で尿道を切除する分、局所が短くなるのでしょうか?」

I先生「ありません。膀胱が下に伸びる感じです。ネットの情報は嘘が多いですよね、先生の脳外科領域でもそうでしょ」私「はーそうですね。で、術前にしてはいけないことありますか。腹筋運動しすぎると手術しにくくなるとか?」

I先生「特にありません、いつものように生活してください。ただし5kg肥満するのはダメです」

私「大丈夫だと思います。では手術よろしくお願いします」

 

病気は何が起きるかわからないものです。実は進行していて治療方法変わるとか。最終診断まで心の奥ではドキドキします。ですが、2回目のCTで癌の縮小がみられPSAも正常値なのでほっとしました。さて、最終の検査が終わり、あとは手術です。

心境が変化しましたので以下に記載します

1.癌を克服するぞ・できるぞ、の気持ち

 経過順調とは言え、今後も手術と術後追加治療が控えています。まだまだハードルがありますが、薬疹はあったものの不測の事態はなくレールに乗った治療が進んできました。このレールに乗っかていけば癌から生還できる気になりました。がん検診以来ずーっと僕の横には死神さんを感じていましたが、初めて”助かるぞオレ”と思えました。”必ず癌を克服して病院という欠かすことのできない社会インフラを支え続ける”という約束を果たす覚悟に心のセットができた感じです。

2.前立腺癌は何とかなるものかも、の気持ち

考えてみたらここ半年の治療は男性ホルモンをブロックする内分泌療法しかしていません。抗がん剤も何もせずにこの癌は縮小し増殖を止めました。このまま放置したとして数年後に去勢抵抗性になって内分泌療法が効かなくなっても他のホルモン剤、それでもだめなら抗がん剤、ステロイド。それでもだめなら今後開発されるであろう免疫療法や光免疫療法があります。癌制御のオプションは多数ある癌です。これが癌の中でも予後の良い癌と言われる所以です。ただPSAという腫瘍マーカーがわかりやすすぎて毎回ドキドキで神経質になりすぎるようです。天寿全うするまで付き合う方法もあるので焦らず構えるべきと思いました。大事なことは以前に書きましたが、目の前に現れた医者を信じて(これは自身の運を信じてと同義、病院変えても運は予想できません)標準治療をタイムロスなく始めること。転移のありなしで治療の難しさは変わりますので治療にまよい時間をロスすることは避けるべきです。”こっちのほうが助かる”というような情報に惑わされないようにしてください。

 

2023/11/23 131(がん検診) 

2024/1/25から内分泌療法(CAB)開始

2/8     37.686

3/7     0.937 (薬疹でアーリーダ中止 ステロイド短期間内服)

4/4               0.192 (ビカルタミド開始)

5/2     0.110

5/30       0.058 (術前最終値)