脳卒中を専門にしている医者だけど、一応医者ですのである程度の知識はあります。でも前立腺癌になってアタフタ。自身の癌の経過を記録していきながら、治療法など解説していきます

そして「人生が有限であることを実感した癌患者は普通に生きている人より有意義で幸せな生活ができる」と豪語したこの医者、果たしてどうなるのか。

”愛おしいこの世で使命感を持って毎日を死ぬまで生きる” "有限の時間の中にこそ無限の時間が広がる” の実践はなるのか

T3bN0M0、ステージC、グリーソンスコア(4+4=)8、PSA131、自覚症状なし、2024/1/25から治療開始

 

内分泌療法が奏効して6月に根治手術(ロボット支援全摘手術)の予定となりました。

今回は手術への心と体の準備すべきことについて外科医の経験から述べ、現在自分で実行していることを記載します。

医学の発達した現在では手術で死亡してしまう術中死はまずありません。でも、術後に予期せぬ合併症で重い後遺症や生命の危険に至ることは少なからずあります。有名歌舞伎役者が食道がん術後に呼吸器合併症で帰らぬ人になった事例は典型例でしょう。

では、どのような人が予期せぬ合併症に見舞われたときに生還できるのか。外科医としての経験から記していきます。なお、本記事は完全に感覚による個人的な考えであり科学的根拠は全くありません。COIもありません

 

1.心の準備

 生きることに貪欲な患者さんは強いです。術後もなさねばならないことがある人、社会から求められている人、愛する人が待っている人などです。一方、術前から諦めの気持ちや希死念慮の人は”あれよあれよと言う間に・・”が。医学博士が非科学的なことをと批判されるかもしれませんが、以前現役バリバリだったころ、京大同門の他の脳外科部長たちと会食の場で、終盤には「神様はいるよねー」の話題がよくありました。自分が慢心して手術に臨んだ時や、嫌がる患者を説得して手術した時などに手術成績は悪く、落ち込んだ経験からのしんみりした話題でした。何の神かはわかりませんが人智を超えた何かが究極の場には訪れるようです。

さて、自分はどうしているか。

癌と診断された時、手術が予定された時、万が一自分が急にこの世から消えた場合を考えて以降の仕事のスケジュールは白紙にしようと思いましたが、上記の理由でやめました。九州の院長を辞した後に理事長として定期的に現地に訪れてほしいといわれても、ナルハヤで大阪の病院に院長就任して立て直しを依頼されても、北関東の病院から立て直しへのコンサルティングをお願いされても、「退院してから考えます」とは言わずに「わかりました。全力でやります!」と言っています。大阪のマンション引っ越しを計画したり、ハイブランドのビジネスリュックを検討したりもして、「早く良くなって社会復帰しなきゃ」と思うように環境を作りました。この世に魂・念を残しておく感じです。

雲仙普賢岳を臨むこの医療法人の職員から別れを惜しまれ、関与継続を切望されると誇りと同時に気持ちが前に向かいます。みんなありがとう。

 

でも、憂いなく手術に臨むためにやり残したことは整理しています。死ぬ間際に誤解を解いておきたかった人を思い出すのは辛すぎるので。今までに傷つけてしまった人、何気に疎遠になって気になる人には頑張って連絡を取って正直に謝罪をしたり誤解を解くようなことをコツコツやっています。それでかえって傷つけてしまうこともありましたが、全体的にはこれで良かったと感じています。「さよなら」は言いませんが、「ごめんね」は言う感じです。

また、念のために資産と死後の段取りの書面を作っています。今週末に長男長女に会って話しする予定です。

 

2.体の準備

脳外科手術を受けた患者さんの中には術後の回復が不良で長期間意識障害となったり、栄養不良が続くことがあります。また、術後に長期間リハビリが必要な方も多くいらっしゃいました。その中で長期間の臥床や栄養不良、大変なリハビリを耐える体の特徴は、”内臓機能”が最も重要で、次に”筋肉量の多さ”と”適度な皮下脂肪”です。筋肉量だけが多いムキムキはダメで、デブデブもガリガリもダメです。脂肪も内臓脂肪は手術しにくくなりますので皮下脂肪が重要です。女性アスリートの体型がわかりやすい理想像でしょうか。このような体型の人がイザというときのいわゆる体力がある体です。

さて、自分はどうしているか。

もともとシニアアスリートなので、シニアサッカーの大会前には体脂肪率15%以下にしたり、長期自転車旅や登山の前には少し内臓脂肪貯めたりと、ボディメイクは得意で好きです。

癌が診断された時から内臓機能は意識し始め、唯一健康診断で指摘されるアルコール肝障害疑い(γGTP高値)に対して飲酒量を減らして毎月の採血検査でγGTP低下を確認しています。また、バランスを重視した食事内容で腎機能やコレステロール値の悪化はありません。筋肉量に関しては元々多いのでホルモン剤のよる低下を防ぐためにトレーニングは継続しており大丈夫なようです。あとは皮下脂肪を少しつけるためにバランスの良い食事の中で糖質、油分を多めにしています。

ここ1か月は最後になるかもという言い訳で、ウルフギャングのステーキとか東華菜館の春巻きとかVANSANでピザとか好きで食べたかったものをどんどん食べています。

 

で19日の日曜日はあべのハルカスへ  下から仰ぎ見るとたかーい。

12階から14階はハルカスダイニング。初めて来ましたが本当にたくさんのレストランがあります。

さすが大阪食い倒れ中心地

天ぷら新宿 つな八 天王寺へ

落ち着いた店内で上質な江戸前天ぷらが頂けます。

天ぷらのコースは4500円、アナゴ天がつくと5500円。すべてが素材の味を生かしたくどくない揚げ方で塩で食するほうがおいしい感じ。季節先取りの鱧天ぷらも食べることができました。

生ビール2杯半で締めのかき揚げ天茶まで美味しく頂きました。

で、下腹は出ていませんがほんのり皮下脂肪が付いてきています。手術で取れんかったら嫌だな。