脳卒中を専門にしている医者だけど、一応医者ですのである程度の知識はあります。でも前立腺癌になってアタフタ。自身の癌の経過を記録していきながら、治療法など解説していきます

そして「人生が有限であることを実感した癌患者は普通に生きている人より有意義で幸せな生活ができる」と豪語したこの医者、果たしてどうなるのか。

”愛おしいこの世で使命感を持って毎日を死ぬまで生きる” の実践はなるのか

 

今回は複雑なタイトルですが、記事には抑うつや自殺念慮の内容もあります。

自分自身は回復していますので読んでくださっている方はご安心ください。

また、現在同様の精神状態でお悩みの方はこの記事を参考にすることなく適切な医療機関などを受診するか相談してください。

 

 

3月7日に泌尿器科受診してアーリーダの副作用である皮疹に対して皮膚科から副腎皮質ステロイドが処方されました。副腎皮質ステロイド剤はプレドニゾロンで3/7から3/10が20mg/朝食後1回、3/11から3/14が15mg/朝食後1回、3/15から3/18が10mg/朝食後1回、3/19から3/22が5mg/朝食後1回。アーリーダは皮疹の悪化した3/4から中止していて内分泌療法はゾラデックス(LHRHアゴニスト)皮下注の効果のみの状態です。

副作用の薬疹(薬の副作用による皮膚のブツブツ)は、外用薬(塗り薬)との併用で約1週間で治っていって安心していました。

男性ホルモンを抑制して前立腺癌をたたく内分泌療法(ホルモン療法)は、性欲減退などの副作用以外にも頻度は不明ながらうつ傾向も報告されています。なので今年1月末からの治療開始以降、気力低下と同時に軽度のうつ状態であったことは確かでした。

さて、プレドニン内服は正確に服用しないといろんな副作用が出るので、面倒でしたが真面目に毎日スケジュール通り服用していました。

そこに3/12に本社から副社長が熊本市に来て、早期の関西への転勤を命じられました。転勤自体は悪い話ではないのですが、熊本の病院の引継ぎや周囲への報告、転居(京都からはすこし遠い)の計画などで、精神的には心配事が多くバタバタとなっていました。15日ごろから不安や焦燥感が出始めて、3/20に精神的ダメージ(雲仙普賢岳ドライブとは無関係)の出来事があり、これが最終的な引き金となって、強度の鬱となりました。

ステロイド剤の副作用の一つの精神的なうつ状態は、脳の視床下部に作用することで発生し発症時期は内服早期から数か月後、多くは2-3W目です。どよーんと沈みこむ型というよりは、焦燥感(あせる気持ち)や不安を伴う活動的な鬱です。自殺念慮(自殺したい気持ちが出ること)も強いようで、私自身も医師としては(主治医ではありませんでしたが)ステロイドの鬱による2人の自死を目撃しています。

3/20から4日間が重症でした。知識の通りに、何も大したことがない事柄、例えば”ホットフラッシュが辛いなー”とか、”人を傷つけてたのかなー”とか、”薬疹が再発したらヤバいなー”とか、ほんのつまらないことを思った瞬間に心拍数が上がって、無意味な不安感と焦燥感で「もうダメだー!」となります。これがひどいときは1日数回から数十回きて1-2時間続きます。薬の副作用なので必ずすぐに治ると自分に言い聞かせて耐えていましたが、発作的行動の危険もあるので10階のマンションに住んでいることを後悔しました。仕事をしているときや飲酒時は発作は来ませんでしたが、一人でぼーっとしているときや、夜間に酔いがさめて目覚めたときなどがとてもヤバいです。のちに医師の友人に話したところパニック障害も出ているのだろうと。なるほど。

この時は3/21に部下に病状を話すことで少し楽になり、22日金曜日でステロイド内服終了したので、必ず軽快すると信じて予定通り福井の実家へ彼岸の帰省としました。ほんとは鬱の時は旅行はしないほうがいいのは知っていましたが、誰かと一緒にいたほうが絶対安全だとの思いもありました。

 

3/22金曜日、仕事終了後に新大牟田駅へ

 

いつもの九州新幹線つばめ号と博多から京都までのぞみ号で、人身事故で止めることなく無事に京都に到着。

京都の7Fの自宅マンションで飲酒して寝て、土曜日は冷たい雨なので、自宅でサイクルトレーナーと筋トレで汗流して気分転換したのちに午後3時から車で福井へ。

実家には姉(うつ病の治療経験のあり)が住んでいるので、姉の手作り料理とお酒で夕食たべながら病状を説明して、その後いろいろと話をして盛り上げると鬱は軽快の方向となりました。自殺念慮は全くなくなって日曜日午後に京都へ。月曜日朝から九州に帰りました。

曇り空の京都駅の新幹線プラットフォーム こんな感じが京都らしくて好きです(8時47分のぞみ5号です)

 

博多で乗り換え 12時過ぎに新大牟田駅に無事に帰ってきました

 

現在、ステロイド剤終了後4日目で薬疹の再発はありません。副作用の鬱の発作はかなり減りました。

必ず一時的な鬱だとわかっている中でも、自分で症状を軽快させるために効果があったことを以下に記載します。(ステロイド剤の鬱と病気の気分障害(うつ病)とは違いますので、誤解なきようにお願いします)

 

1.誰でもいいので辛いと感じていることを話てしまうとかなり楽になりました。誰でもいいです、もしかしたら猫やデコピンでもいいかもしれません。(オオタニさんも大変でしょうね)

2.鏡を見て(いつも鏡なんて見ないのですが)、「じゃあ、どうするんだ、俺」と自問自答して気弱から脱却を決意したら前を向く気持ちになりました。これ、意外に効果ありました。

3.12月から熊本の病院で院長となって、いつも笑顔を自分に課していました。鬱の時は仕事に出かける行動自体が大きなストレスのようでした。無理に口角を上げずに、逆に歯を食いしばって、しかめっ面して、自身の表情からも気迫を示して、自分を鼓舞したら出勤時に車に乗り込むことができました。

4.血のつながった身内からの叱咤激励は改善効果ありです。配偶者含めて他人はだめです。ちょっと泣いた後に姉から一つずつの嫌なことに対してアドバイスを貰ったり、とくに「それはアナタがいい気になって俺様になっているからだ」と叱られてストンと楽になりました。

5.運動して汗を流すことは良いようです。ただし始めるまでが辛いのでアクセスしやすい運動が良いようです。

6.今回は一時的なものと確信していましたので医療機関受診はしませんでしたが、絶対に受診した方がよいと思いました。