脳卒中を専門にしている医者だけど、一応医者ですのである程度の知識はあります。でも前立腺癌になってオロオロ。

自身の癌の経過を記録していきながら、治療法など解説していきます。

 

自分も思いもよらぬ病気になったのでネットでの情報を探したりしました。その中で、明らかに間違って理解して治療選択している例や特殊な治療に誘導するような情報もありました。

ネットによる情報は正しく理解すれば有意義ですが、間違って理解すると不幸な結果にもなります。

癌になった医師として、なるべく偏りのない情報を発信していきたいと思います。

 

さて、年が明けて令和6年、2024年1月18日 冷たい雨が降る中、宇治市の病院へ予約の通りに骨シンチ検査に行きました。

紹介状と保険証を出して受付。放射線検査の受付の後、RI検査室で静脈注射。テクネシウム(99mTc)というラジオアイソトープ(RI、放射線を放出する物質)をくっつけた骨の成分を静脈から注射して、骨が壊れて再生しているところに集積させてガンマカメラで撮影します。骨に集まるまで3時間かかるので朝9時に注射して13時にまた来てくださいと。

ここは宇治なので平等院の横のスタバに行ってWifiのもとリモート会議出席。13時に車で戻りました。

 

何が驚いたって、病院の手前で前に走っていた原付バイクが突然なんお前触れもなく転倒。時速20kmほどでも止まれないものですね、車は急に。

幸い自分のAudiには自動ブレーキがついていて私のブレーキより前にブレーキかけてくれていました。ので、衝突せずにギリギリ事なきを得ました。自動ブレーキは絶対必要と実感できました。こけたお兄さんは急に右折しなければならないと気付いて急ハンドル切って転倒したようで、バイクも無事で何事もなかったように立ち去りました。

 

ガンマカメラでの撮影は30分間寝ているだけで平たい板が体の周りをゆっくり回るだけです。頭の撮影以外の時は横目でモニター見えるので骨転移ないか見ていましたが、見えた範囲ではなさそう、でも不安。

 

1週間後の1月25日、泌尿器科受診して最終ステージ診断と治療開始

骨への転移はありませんでした。

 

T3bN0M0、ステージC、グリーソンスコア8、PSA131が最終診断。

 

ここからは治療法の選択になります。

ガイドラインに従った標準治療の選択となります。

私のステージなら根治的治療を目指すことになります。いきなり手術や放射線治療ではなくて腫瘍を制御して小さくしたうえで根治的治療である手術切除や放射線治療にすすみます。これはネオアジュバント療法と呼ばれるものです。

手術の後に化学療法(抗がん剤)や放射線治療を施行する場合のアジュバント療法が一般によく用いられますが,根治的治療としての手術または放射線療法の前に化学療法,ホルモン療法,その他の治療が行われることがあって,ネオアジュバント療法と呼びます。

 

前立腺癌の場合は局所(前立腺)の中だけにあって小さいものは手術で前立腺ごと摘出したり放射線で焼いてしまって、それから必要ならアジュバント療法。時にはなにも治療せずに経過観察。

それ以外はどんなステージでも根治的であろうがなかろうが最初は内分泌治療(ホルモン剤による治療)です。

他の癌と異なり前立腺癌は男性ホルモンで活性化されるので、男性ホルモンを止めてしまえば癌細胞は生きていけません。

まずほとんどの例で癌細胞は全身から消え去ります。通常数年は癌じゃない状態になることができます。

ですが、残念ながらホルモン剤の治療だけでは必ず生き残って再び増殖を始める癌細胞がそのうち出てきます(去勢抵抗性前立腺癌)。なので局所にとどまってグリっと取れそうなら、半年ほどしてから手術とか放射線治療、転移があってすべて取り切れないなら化学療法(抗がん剤)や違うホルモン剤で抑えていく、という選択です。

 

自分の場合は半年間は内分泌治療を行いながら経過を見て、根治的治療できそうならすることになりました。

 

次回は、私の選んだ内分泌治療のお話と癌の治療方法の全般的なお話(標準治療って?)です