下町サイキックを読んだ
わざわざご本人から送っていただいた
吉本ばななさんの新作
下町サイキック
月並みではありますが..
いやあ!感動した!
たまらず本を閉じて
じわっとする感動を味わったことが
4回くらいありました
どんな状況でも
どんなに世界が歪んで重暗くても
どんなに絶望して病んでいても
どんな人でも全ての人に役割があり
みんな世界で必ず何かを果たしている
そして
この世界はとても優しく
自分のことを強く主張しようとしないし
人のことを批判したりしないし
闘いも争いもなく
誰もが丁寧に自分を生きている
社会的に自分がどう思われているとか
流行りについていかないととか
自分はちょっとダサくてダメなんじゃないかとか
希望を持たなければいけないとか
そういう「外部」とか「社会」がなくて
社会的な外側の価値観で
自分を批判したり
他人を評価することがない世界
世界がそれだけで完結している
だからそこに住み人は
自分の内側に満たされている
優しい内部の世界
それが
ばななさんの下町の世界なんだ
世界が完結しているからといって
閉塞的なものではなく
その中は多種多様なものが存在していて
みんなその存在を優しくゆるしている
それが超素敵!!
昔の日本ってそんな感じだったのかもなあ
昭和生まれのわたしが小学生の頃
足が不自由な男子がいて
彼はいつもめっちゃ自由でカッコよかった
運動会の短距離走で
彼が大幅に遅れてビリで走っているのを
保護者が拍手して励ましていたことを
当時のわたしはとても胡散臭く感じた
彼は外側の世界が扱う
「可哀想な障がい者」じゃない
まして被害者でもない
彼の精神はむしろ普通の人間よりも自由で
存在そのものがかっこいい
そんな彼が普通に一般のクラスにいて
とても馴染んでいて
クラスの子は誰も彼を特別視しなかった
多様性を認めるとか
差別しないとか
そんな大義名分を言わなくても
みんなわかっていた
そんな世界が描かれていて
すごく懐かしくくすぐったく
そしてそういうことを全部わかっている
ばななさんは
やっぱりすごいなあと思った
この本は絶対読んでください!!
ばななさん本当にありがとうございました。