★映画『オッペンハイマー』を理解するために、いくつかの視点で映画を捉えるといいと思った。どんな視点から映画を考察するのか?
①ロスアラモスでの原子爆弾製造におけるオッペンハイマーの活躍
②オッペンハイマーと共産党・共産主義者との関係
③ルイス・ストローズ(アメリカ原子力委員会の委員長で、アメリカ海軍少将)とオッペンハイマーとの対立(確執)
④第二次世界大戦後のオッペンハイマーの軍拡競争への危惧
⑤妻キティとオッペンハイマーの物語、愛人ジーン・タトロックとオッペンハイマーの物語
⑥アメリカ政府とオッペンハイマー
⑦聴聞会でのオッペンハイマーと証言者たち
⑧マンハッタン計画に携わった科学者(特に物理学者)とオッペンハイマーの関係
⑨アインシュタインとオッペンハイマーの会話
⑩できるだけ時系列に出来事を整理してみる
⑪オッペンハイマーは、惨劇に見舞われ地獄と化した広島・長崎に対してどう向き合ったのか
以上の11項目について映画を捉えていけば、映画『オッペンハイマー』の理解度は上がるだろうと思った。
★『オッペンハイマー』をDVDで3回見た。
★オッペンハイマーとアインシュタインとの会話が、とても大事だと感じた。
*中性子がウラン235の原子に衝突して連鎖反応が起こることについて、原爆の開発中にオッペンハイマーがアインシュタインに見解を求めている場面があった。
まずここが大切だ。
次は、映画の最後の場面で原爆が炸裂したしたときの連鎖反応について、アインシュタインに見解を求めている。
実際の原爆の爆発によって引き起こされた連鎖反応は限定的なものであり、地球を破壊するような連鎖反応は起きなかった。
しかしである。ソ連もイギリスもフランスも中国もインドもパキスタンもイスラエルも北朝鮮もあたかも「核分裂の連鎖反応」のように核保有国は増えていったではないか。オッペンハイマーが感じていた危惧とはそのことだったのではないか。そう僕は感じた。
★映画の原作が、早川書房から文庫で上中下の3巻で出ていることを書店の書棚を見て今日知った。これを読む気はないが立ち読みくらいはしてみたい。
*日本では戦前、戦中では共産主義者の取り締まりは特高などによって行われた。
戦後の日本では共産主義者への風当たりは弱くなった。
一方のアメリカでは第二次世界大戦後、ソ連の台頭とともに共産主義者への赤狩りが始まった。
オッペンハイマーは、共産主義者でソ連のスパイだと疑われた。この辺のことを映画『オッペンハイマー』は丁寧に描いている。
*ネット上には映画『オッペンハイマー』について詳細に解説・分析しているブログ等がいくつもある。だから、もう僕の出る幕はない。
*英語の音声で日本語の字幕で見るよりも、英語の字幕にして日本語の音声にして見る方が理解度が高まることがわかった。
4回目は、英語の字幕で英語の音声にして視聴してみるつもりだ。
*この映画の評価は、星4つの傑作でした。
*お読みいただきありがとうございました。
*なお記事冒頭の画像は、
多田将さんの著書です。
多田さんは、大学共同利用法人 高エネルギー加速器研究機構・ 素粒子原子核研究所の准教授です。
