本の紹介『なぜ宇宙は存在するのか』(3) | フォノン通信

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2019年にヤフーブログから移行してきました。
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☆前回に続いて本書の要点を紹介します。

 

第2章にはまだ重要な事項がいくつかあるのですが、第3章に飛びたいと思います。

 

第3章 ビッグバン宇宙Ⅱ 

              宇宙開闢約0.1秒後「以前」

 

3-1 さらに初期の宇宙

  なぜ初期の宇宙がわかるのか

 

宇宙開闢後の極めて初期の観測データはないので、ビッグバン原子核合成以前に何が起こったのかは、私たちが知る物理法則を使って時間を遡ることにより、その大枠は知ることができます。

 

【引用開始】

温度が約1兆度以上であった時代、年齢にすると1マイクロ秒以前の宇宙には陽子、中性子はまだ存在していませんでした。

 

(中略)存在していたのは、それらの構成要素であるクォークや、電子などのレプトン、光子などです。

 

クォークは、約1兆度以下の温度では陽子、中性子などの内部に「閉じ込められて」おり単体で取り出すことはできないのですが、それより高温の世界では、通常の粒子として自由に振る舞っていたのです。

【引用終了】

 

☆このクォークは6種類あります。u,d,c,s,t,b(アップ、ダウン、チャーム、ストレンジ、トップ、ボトム)の6種類です。例えば陽子は、u,u,dの3個のクォークから成ります。

 

このクォークとクォークの間に働いている力が「強い力」です。この「強い力」は近距離では弱く、遠距離では強く働くという性質を持っています。

 

ですからクォークとクォークを引き離そうとすればするほど強い引力が働きます。

 

 

さらに引用を続けます。

 

【引用開始】

さらに時を遡って10-6秒よりももっと以前の、(宇宙の)年齢にすると10-12秒ほど、温度が数百兆度程度の頃の宇宙では、よりドラマチックなでき事が起こったと考えられます。

 

現在物質間に働く基本的な力として私たちが知っているものは、四つあります。

 

電磁気力、重力、それに弱い力、強い力と呼ばれるものです。(中略)弱い力はβ崩壊と呼ばれる原子核反応に関係する力であり、強い力はクォークの閉じ込めに関する力です。

(中略)

これら四つの力は、その強さから到達距離、それが働く素粒子の種類に至るまで全く違う性質を持っているのですが、宇宙の年齢が約10-12 秒以前にはこれらのうち電磁気力と弱い力は電弱相互作用として「統一」された状態にあったと考えられるのです。

【引用終了】

 

☆宇宙の年齢が10-12 秒以前では「電磁気力」と「弱い力」が別々の力としては作用していなくて、統一された力として作用していたということです。ここは理解しにくいですね。

さらにこの次を引用します。

 

【引用開始】

そして、この電磁相互作用が支配する宇宙では、クォークとレプトンの質量はゼロでなければならなかったことが理論的に示されています。

 

つまり、宇宙が超初期の状態から膨張して冷える過程で、年齢が10-12 秒ほどの頃に電磁気力と弱い力は私たちが知るように全く異なる力として分かれ、電子を含む素粒子(クオーク、レプトン)は初めて質量を持ったのです。

 

この驚くべき構造の変化は、ヒッグス場と呼ばれる空間に満ちている「もの」が凝縮することによって起こったことが分かっています。

【引用終了】

 

☆ヒッグス粒子、ヒッグス場についての理論は僕も正直よく分かりません。そういうものだと知識として知っているだけでその理論的な背景から説明してくれと言われると答えに窮します。ヒッグス場やヒッグス機構についてはいわゆる科学教養書のレベルでは詳しく説明してありません。

 

ヒッグス機構について理解するには「ゲージ理論」「ゲージ対称性」「真空の対称性」「自発的対称性の破れ」などについて理解を深めなければなりません。

 

初めは質量がなかった素粒子が、時間の経過とともに途中から質量を持つようになったというのですから不思議です。

 

先日亡くなったヒッグス博士らがこのヒッグス粒子の存在を予言したのでした。

ヒッグス粒子は2011年12月に発見されました。

 

◇今回はここまでにします。

お読みいただきありがとうございました。