ドストエフスキー『悪霊』を読んで(1) | フォノン通信

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2019年にヤフーブログから移行してきました。
制作した絵画、詩、読んだ本のことなど投稿していきます。

 

☆ドストエフスキーの5つの長編小説の中でまだ読んだことのなかった『悪霊』をやっと読み終えることができた。

 

この『悪霊』は、死ぬまでに読んでおきたい本の一冊でした。

 

他に死ぬまでに読んでおきたい本の一冊にプルーストの「失われた時を求めて」がある。

 

☆だいぶ昔であるが、大学生のときに『悪霊』を読もうと思い文庫本を買った。

しかし、何十年も『悪霊』は書棚に置かれたままだった。

 

☆2011年に光文社古典新訳文庫から亀山郁夫訳の『悪霊』が刊行された。

 

 昨年、思い切って亀山郁夫訳の『悪霊』を買った。買ってもすぐに読み始められなかった。

 

『悪霊1』『悪霊2』『悪霊3』は全部で

1650ページほどある。

 

読了するには相当のエネルギーが必要だ。内容も重苦しそうだ。そういうこともあってなかなか読み始められなかった。読む覚悟が必要な小説なのだ。

 

3月末になって今なら読めるという予感がした。そして読み始めた。

 

読み始めたらやめられないほどの魔力がある小説だった。第一部から第三部まで読むのに10日かかった。

 

★『悪霊』を読んだ感想を書いてみたいのだが、言葉が出てこない。

 

どういう風に感想をまとめていったらよいか整理がつかないのである。

 

言葉を探しながら時間をかけて感想を書いていこうと思う。

 

自分用の備忘録のつもりでつぶやいていこうと思う。(ネタバレとなる事項もあります要注意です)

 

★1650ページ(読書ガイドを含めると

1880ページ)も読んだのだから長年の願望がかなって、すっきりしたと思われるかもしれないがそうではなかった。読後には重苦しい余韻が残った。

 

☆まずドストエフスキーが『悪霊』を書くきっかけとなった

「ネチャーエフ事件」について書いておきます。

 

1869年11月末、モスクワにあるペトロフ農業大学構内の池から、一人の青年の遺体が発見された。「人民の制裁」と名乗る革命結社のメンバーで、結社から脱会を申しでた、イワン・イワノフが、秘密の露見を恐れるほかのメンバーによって銃殺され、構内の池に投げ入れられたのである。この事件は、結社の指導者セルゲイ・ネチャーエフの名にちなんで「ネチャーエフ事件」として広く知られるにいたった。逮捕者の数は、じつに300名におよび、うち87名が裁判にかけられた。

以上が、「ネチャーエフ事件」でした。

『悪霊』ではこの事件をモデルにした内ゲバ事件が起こります。

 

☆『悪霊』には主要な登場人物だけでが20人くらいはいる。

 

その中に二人の「悪霊」がいる。

主人公といっていいニコライ・スタヴローギンとピョートル・ヴェルホヴェンスキーの二人である。

 

ピョートル・ヴェルホヴェンスキーが、秘密結社を組織し革命運動を指揮する青年である。

 

ピョートル・ヴェルホヴェンスキーは、カリスマ性のある青年ニコライ・スラヴローギンを秘密結社に入れ、革命運動の核となる人物にさせたがっている。

しかし、ニコライは革命組織に無関心である。

 

☆ニコライ・スタヴローギンは、超がつくほどの美男子であり、並外れた知力と体力がある。

 

しかし、困った性格の人なのである。ときどき周囲に迷惑をかける突拍子もない行為にはしることがある。

 

僕は、ニコライは本当に悪人だと思う。

「スタヴローギンの告白」の章のなかで、ニコライは14歳くらいの少女を凌辱し、それが原因で少女は自殺してしまったと告白している。

 

ニコライは、サイコパスであると言っていいのではないでしょうか。

 

ドストエフスキーは、ニコライ・スタヴローギンを主人公に小説『悪霊』を書いている。

 

この主人公ニコライに同情したり、共感を覚えたりすることがない読者が多いのではないでしょうか。

 

いや、わたしはサイコパス的なニコライ様が好きですという方もいるかもしれません。

 

☆ピョートル・ヴェルホヴェンスキーは、知能犯である。

 

社会にインパクトを与え、世の中を混乱させたいと考えている。

 

人の上に立って指揮することが好きで、組織のメンバーをコントロールしている。

 

この人も困った人であるが、サイコパスではないと思う。

 

★光文社版の亀山郁夫訳の『悪霊』は親切な構成になっていて、三巻とも巻末に丁寧に編集された「読書ガイド」がついている。

 

読書ガイド内にまとめとしてあらすじが書かれているため、この「備忘録」には「あらすじ」を書く必要はないのであらすじは書かないことにします。

 

 

☆ニコライ・スタヴローギンは、女好きというか女たらしというか、とにかく女性関係が多い人物です。

 

☆小説の主要な女性の登場人物4人と関係を持っている。

 

すぐ恋をしてしまう性格なのか、或いは本能のままに行動してしまうのでしょうか。

やりたい放題の困った青年です。(年齢は

25,26歳くらいでしょう)

 

ニコライと関係した女性(恋愛関係か肉体関係があったと思われる女性)は

 

リザヴェ―タ(リーザ)

足の悪い女性のマリヤ

ダーリヤ(ダーシャ)

マリヤ・シャートワ

の4人である。

 

①リザヴェ―タ・・・婚約が内定していたのにスタヴローギンに恋をしてしまう。家を抜け出し、ニコライと一夜をともにするが、熱が冷めニコライに幻滅しその場から去る。

ヒロインとも言えるが少し精神的に不安定なところがある繊細な女性。

 

②足の悪い女性マリヤ・・・ニコライと結婚する。しばらく結婚は極秘になっていた。

 

③ダーリヤ・・・ニコライの母であるワルワーラ夫人の養女。ニコライが本当に愛したのはダーリヤひとりだったかもしれない。

 

④マリヤ・シャートワ・・・・ニコライ・スタヴローギンと関係をもち、彼の子を身ごもる。

 

☆もう一人の主人公といってもいいピョートル・ヴェルホヴェンスキーの恋愛話は小説には出てこない。

 

ここまでを備忘録(1)としよう。


◇ここまでお読みいただきありがとうございました。