デイヴ・グルーソン著『サイレント・アース』を読んで(3) | フォノン通信

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☆備忘録、読書ノートの3回目

4章の続きです。

4章 データで見る昆虫減少

◆昆虫の個体数の変化を長い期間かけて調査してきたのはドイツでした。

 

ドイツ以外ではどういう状況なのかデイヴ・グルーソンは述べていきます。

(引用開始)
☆ほかの地域で広範囲に観測されているのはチョウとガだけだ。

 

1970年以降、アメリカのカリフォルニア州とオハイオ州、ヨーロッパのさまざまな場所で継続して観測されてきた。

 

そのデータには全体的に減少傾向が見られるものの、ドイツで確認されたような急激な減少はほとんどない。

そのなかで最も目を引く事例はオオカバマダラだ。

☆カリフォルニアで越冬する西側(ロッキー山脈の西側)のオオカバマダラは1997年には120万匹ほどいたが、2018年と2019年には三万匹もいなかった。

およそ97%の減少だ。

東側の個体群はまだましだが、それでも、

2016年までの10年間でメキシコに到達した数は80%も減少した。
(引用終了)

◆次にデイヴ・グルーソン教授は、イギリスのチョウの個体数の変化に着目している。

(引用開始)


☆(イギリスでは)「田園地帯とそれに類する地域」のチョウ(ジャノメチョウやクジャクチョウといった、農地や庭などでよく見かける種)の数は1976年から2017年のあいだに46%減少した。

☆一方、ヒョウモンチョウやカラスシジミといった、より希少で特定の生息地を好む種は、その多くを対象とした保護活動が重点的に行われていたにもかかわらず、77%も減少した。

(引用終了)

◆次は、イギリスのガ(蛾)の数の変化について述べている。


(引用開始)
☆イギリスにすむ大型のガの全体的な数は

1968年から2007年のあいだに28%減少した。

都市化と農業の集約化が進んだイギリスの南部では減少が顕著で、40%の落ち込みとなった。

スコットランドのガに着目した最近の分析では、1990年から2014年のあいだに数が46%減ったことが明らかになった。
(引用終了)

◆次はグルーソン教授の専門であるハナバチについての記述に入る。


(引用開始)
☆残念ながら、ハナバチの野生種の数に関して長期的なデータ群はない。


最近まで、系統的な手法で数を数える調査を始めようとした計画した人は誰もいなかったのだ。

とはいえ、ハナバチをはじめ、研究が進んでいる野生種のいくつかについて詳しい分布図はつくられている。

そのデータは主に、博物館に収蔵された標本や、専門知識のあるアマチュア調査員が何十年にもわたってとってきた昆虫の記録から得られたものだ。

こうしたデータを使えば、過去の異なる期間におけるさまざまな種の分布図を作成でき、地理的な分布域の規模が時間の経過とともにどう変化していったかを知ることができる。

☆この手法で調べた結果、多くの種で生息地が大幅に狭まっていることが判明した。

イギリスでは、23種のマルハナバチのうち13種の生息域が

1960年以前から2012年の間に半分以上減ったほか、2種(ショート・ヘアード・バンブルビーとカラムズ・バンブルビー)が絶滅した。

☆ごく最近、オックスフォードシャーにある生態学水文学センターのゲイリー・パウニーが、昆虫の記録者の取り組みを考慮に入れようと複雑な数学的な手法を用いてイギリス全土の野生のハナハチ(マルハナバチ以外も含む)とハナアブの生息域の変化を詳細に分析した。

その結果、どちらの昆虫グループも1980年から2013年の間に減少しており、イギリスでは面積一平方キロ当たり平均11種が姿を見せなくなったことが明らかになった。

☆簡単に言うと、イギリスのどこか特定の場所で1980年と2013年にハナバチとハナアブを探す調査をしたら、2013年に見つかる種の数は平均11種少なるということだ。

☆イギリスでは1850年以降、ハナバチを訪れるカリバチのうち23種が絶滅した。


☆北アメリカでは過去25年の間に5種のマルハナバチの生息域と数が大きく減少し、そのうち一種であるフランクリンズ・バンブルビーは北アメリカだけでなく世界的に絶滅しつつある。
(引用終了)

◆このように昆虫の世界的な減少を引き起こした原因は何だろうと、素人の僕がまず頭に浮かべたことは「農薬の使用」だった。

次回は、農薬による昆虫の減少についての章をまとめていきたいと思う。