吉本隆明の死を悼む | フォノン通信

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僕にとっての吉本隆明


☆3月16日、詩人・評論家の吉本隆明氏が逝去された。87歳であった。ご冥福をお祈りいたします。

☆僕は、全共闘世代であるが、学生時代に吉本隆明の著作はほとんど読まなかった。むしろ、彼の著作は読み込めなかったので、敬遠していたというのが真相である。
 大学を卒業後、吉本隆明の詩集に出会い、彼の詩に感銘し、詩人としての吉本隆明に接近していったことから、その後、彼のいくつかの著作や対談集を読むようになっていった。

☆吉本隆明氏は、晩年、インタビューや対談を基にした著作を多く出したことから、彼の思想が分かりやすく伝わるようになったように思う。その対談集やインタビュー集から吉本流の思想の一部を垣間見ることができるようになりました。


☆彼の代表的な著作である「共同幻想論」も「言語にとって美とは何か」などは読んでいないので、本当は吉本隆明の思想を語る資格など僕にはないのであるが、彼の一ファンとして何か書かねばと思ってここに書いている次第です。


☆僕が読んだ吉本隆明関連の書物のいくつか

『日本語のゆくえ』(吉本隆明)
『吉本隆明詩集』
『悪人正機』(吉本隆明、糸井重里)
『日本人は思想したか』(中沢新一、梅沢猛、吉本隆明)
『相対幻論』(吉本隆明、栗本慎一郎)
『超「20世紀論」』(吉本隆明)
『真贋』(吉本隆明)

 これらの著作から多くのことを学び、また生きる勇気もいただきました。

☆吉本隆明氏の思想の底流にあるのは、万葉集以来の詩歌であり、小説であったと思う。また、マルクスの著作が、彼の思想の形成に大きな影響を及ぼしていたということが、彼の著作を通して知ることができました。

☆吉本隆明は、どんな分野でもOKというタイプの全方位型の思想家ではなかったと思うが、大きな思想家であったことは確かである。彼の死後も彼の著作や言葉は、多くの人々に生きる指針を与え続けるであろう。そして僕は、今後も彼の詩を読み、また彼の評論を読み、それをヒントに考え続けていくであろう。