フォノン通信

フォノン通信

2019年にヤフーブログから移行してきました。
制作した絵画、詩、読んだ本のことなど投稿していきます。

 

★哲学者・西田幾多郎の2回目になります。著者の鈴木隆美さんの文章からの抜粋を中心にまとめていきます。

【引用開始】
話せないインテリ西田

 まず西田は、西洋に留学した経験がありません。映像資料はもちろんのこと、視覚資料も音声資料も今と比べればほとんどない時代でした。西田にとって、西欧とは本の中にあるもので、西田が知った西欧は、自分が流暢に喋れるわけでもない、ドイツ語、フランス語、英語の書物を通じて理解した西欧です。この点は押さえておかなければいけないポイントです。
(中略)
 哲学書の理解のためには、当時のラテン語の教養、当時の日常言語のドイツ語、フランス語、英語に習熟することが必須です。言語文化の蓄積、それらの記号がきちんと身体に設置していること、そうでないとあらぬ誤解、曲解を多く生んでしまいます。
西田は日本でドイツ語、フランス語を学びます。旧制高校、大学で、西周や福沢諭吉が作った、儒教論理、仏教論理の中で培われた漢語の翻訳語を通じて、フランス語、ドイツ語を理解していくのです。
【引用終了】

★西田幾多郎が、西欧の留学しなかった理由を調べてみました。

経済的・制度的な事情

明治期の日本では、海外留学は主に官費留学(国家による派遣)が中心でした。しかし西田は、いわゆるエリート官僚コースに乗った人物ではありません。

東京帝国大学でも正規のエリートコースから外れていた

若い頃は職も不安定で、経済的にも余裕がなかった

そのため、
当時のように「国費でドイツ哲学を学びに行く」という典型的なルートには乗れませんでした。


【引用再開】
 繰り返しますが、この勉強の仕方が、すでに誤読であり凄まじい文化的接木なのです。そもそも江戸時代までの日本語が、日本土着の「やまとことば」をベースに、中国朝鮮由来の漢字文化を接木したものです。中国の儒教と日本の儒教は多くの点で違うものですし、日本の仏教も鎌倉仏教から独自に発展してきたものです。それらの文化が漢字かなまじりの日本語の中に表現として蓄積されていくわけです。このハイブリッドな日本語をさらに変形させ、朱子学の知識でもって、西洋哲学を受容したのは、これまで見てきた通りです。このようにして、漢語を奇妙に変形させ、翻訳語を量産していくわけです。

 そして、この翻訳語と、生活用語たる日本語の語感、生活感覚でもって、西洋哲学を理解する。これは幾重にもまたがる謎の文化的蓄積であり、謎の記号設置であり、そこには意味の変質、変性、捻転、跳躍、いろんなことが起こります。それこそが誤読としての創造的な翻訳なのです。

 この文化的接木の複雑性は、ヨーロッパに長く留学し、彼らの生活語としてのフランス語、ドイツ語、英語に習熟すると、自然に見えてくる、ある種の文化的なカオスです。
【引用終了】

★引用した部分に著者・鈴木隆美さん独自の「誤読としての創造的な翻訳」という見解が示されています。

ここで、ChatGPTの解説を引用しておきます。

西田の哲学は単なる「西欧哲学の輸入」ではなく、
日本的・東洋的経験から出発して、西欧哲学と対話するという性格を持っています。

つまり、

西欧に行って学ぶ → 外から受け取る

日本にいながら考える → 内から生成する

西田は後者を選んだ(あるいは結果的にそうなった)人物です。

そのため、彼の哲学は「場所的」「内在的」な性格を持ち、
後に「場所の論理」へと発展していきます。
興味深いことに、西田が留学しなかったことは「弱点」ではなく、むしろ強みになりました。

西欧哲学の単なる模倣にならなかった

日本発の独自哲学(いわゆる「京都学派」)を生み出した

東西思想の架橋を独自の形で実現した

 

★今回は、ここまでにします。

お読みいただきありがとうございました。