監督:ジョエル&イーサン・コーエン兄弟

出演:マイケル・スタールバーグ、リチャード・カインド

(2009年/アメリカ映画)

原題:The Serious Man

お勧め度:★★★★


アメリカの片田舎のユダヤ人コミュニティで数学教師として暮らすラリー(マイケル・スタールバーグ)は、妻と息子、そして無職の兄とともに、これといった事件もなく平凡な日々を過していたが、妻のジュディス(サリ・レニック)が自分の親友と浮気をし、離婚を切り出してきたのを皮切りに、つぎつぎと不幸に見舞われ始める・・・。



『ノー・カントリー』、『トゥルー・グリッド』と、もはや賞レースの常連となりつつあるコーエン兄弟の作品。丁度前出の2作の間に撮られたこの作品は、ユダヤ人である彼らがユダヤ人を主人公に撮ったある意味パーソナルな作品とも言える。(もっとも、自伝的要素はないらしいですが・・。)



最近はジョージ・クルーニーやブラピなど、スター俳優を起用することも多くなってきた彼らが、無名の俳優ばかりで撮った地味な作品にもかかわらず、『アバター』『ハートロッカー』などの話題作と並んでアカデミー作品賞にノミネートされたことからも、作品の質の高さが伺える気がする。



タイトルどおり、真面目だけが取り柄で、生真面目に生きてきた彼が、周りに翻弄され、自分は何も悪いことをしてないのに、次々不幸に見舞われていく様子は、本来なら悲しいのだけれど、コーエン兄弟ならではのブラックユーモアでついついくすくす笑ってしまう。主人公ラリーを演じたマイケル・スタールバーグの飄々とした演技も素晴らしく、もはや地なんじゃ?と思うぐらい自然。



どこにでもいる平凡な男、平凡な家庭をテーマにしただけに、誰もが共感できるところが他の作品にはない強みともいえる。実際、人間、大変なことって続くものだと思いませんか・・?日常に起きる悲劇を喜劇に変えるユーモアのセンスはなんとなくジョン・アーヴィングの小説的でもある。



ユダヤ人である彼がカウンセラーやら、弁護士、ラバイに次々相談に行く場面は同じくユダヤ人であるウディ・アレンの映画を彷彿とさせる。アレンは好んでギリシャ悲劇を映画に取り入れているが、この作品の立て続けの不幸もある意味、ギリシャ悲劇的なのかも・・・。



60年代が舞台なので当時のキッチュなインテリアや衣装も良い。


地味だけど個人的にはかなり好みの作品でした。