【おだてに弱い日本男子
スニーカーを盗まれる...】
「何が、外国男性は優しいだ!? ただ口がうまいだけ
じゃないか! 日本男子は、間違っても口先だけの
ヤツに、騙されたりしないぞ!」
と、いきまく、いささか時代錯誤なOクンが、
ロサンゼルスに行く事になった。
はじめての渡航である。
ロサンゼルス空港に降り立ったときは、敵地を
ゆく兵隊の心境なのか? ガチガチに肩を
怒らせてタラップを降りていった。
ロビーに入って、キョロキョロとしていると、
20歳半ばに見える白人青年が、日本語で
声をかけてきた。
「日本の人ですか? 日本って とても素敵な国
なんですよね? 一度、行ってみたいと思っています。日本の
男の人も、強くて勇ましいと聞いています」
人なつっこい笑顔にもつられ、
なんだ、けっこう外国人にも、わかっている
やつはいるんだなと、気分がよくなってきた。
「黒いキリッとした目が羨ましいですよ。
ロスじゃ、きっとモテますよ」
などと、言われ、「エヘヘ、そうかなぁ」と、
だんだん顔の崩れるOクンである。
「素敵なスニーカー履いてますね。
ちょっと、よく見せてくれませんか?
「オーケイ、オーケイ」
と、すっかり警戒心をなくしたOクンは、
言われるままにスニーカーを脱いだ。
そのとたん、白人青年は、スニーカーを
つかむと 一目散に逃げてしまい、あとには
Oクンが裸足で、口をポカンと、開けたまま、
呆然と立っていたという。
その後、Oクンの外国人嫌いは、
さらに、ひどくなったようだ...。
備考:この内容は、
1994-1-5
発行:河出書房新社
著者:ユーモア人間倶楽部
「旅の大ドジ編・
世にも恥ずかしい人々Ⅱ」
より紹介しました。