さて、次に私自身がリサーチした
職業別、女性の見分け方から、付き合い方を
読者の皆様に、お教えしたいと思います。
芸能界での潜伏期間30年、
水商売の女性とは、数多く接してまいりました。
そこで、一般のOL 以外の、
働く女性にスポットを当ててみたいと
思います...。
「水商売」の語源は、「客のひいきで
成り立ち、流れる水のように収入が
不確か」なところから来ております。
私は、そんな水商売の中でも、キャバレーの
司会をなりわいとしていた関係上、
多くのホステスさんの生態を見て
まいりました。
私、きみまろ、はっきりと申し上げます。
お父さんが「何とかしたい!」
と通い詰めても、やり手のホステスさんの
客あしらいには敵いません。
「今日で、指名するのも4回目だぞ、
そろそろいいだろ?」
「もう1回、指名して! 5回目なら
奇数でキスにも通じるし」
「さあ、今日は5回目だぞ!」
「やっぱりさあ、7回目がいいと思うの。
ラッキーセブンっていうじゃない?」
7回目の指名には、「末広がりの
8回目にして!」と、はぐらかされ、
その8回目には、
「う~ん...
8回目もいいんだけど、
やっぱり、区切りのいい10回目がいいな!」
テンで相手にしてもらえないのです。
1ヶ月に6回も、7回も通って、
高いお酒を飲んだのに、思いを遂げることも
できずに、財布の中は、スッカラカン。
お父さんとホステスさん、
2人揃っての攻防戦が、このように日夜、
繰り広げられているのでございます。
「でもさァ、ホステスさんだって、
いつも言い訳ばかりしているのも
辛いだろう?」
そのとおりでございます。
つれなくしているばっかりでは、お客は
逃げてしまいます。
「いいくに作ろうキャバクラ幕府」
「店が終わったら、お寿司でも
食べに行こうか?」
「いいわよ。先に行って待ってて」
「お前、必ず来いよ。ぜったい、
1人で、来るんだぞ」
お父さんは、お寿司も食べずに、
ガリをつまみに、ビールをチビチビ
飲んで待っています。
「遅いなァ...まさか、帰っちゃった
んじゃないだろうな...?」
時計を何回も見ながら、気もそぞろ。
そこに、着替えたホステスさんが
やってきます。
「ごめんなさい、遅れちゃって。
マユミもチサトも連れて来たの~」
「バ、バカ、お前ひとりで来いと言っただろ!」
「いいじゃない。さァ、マユミちゃん、
チサトちゃん、食べましょう!」
お父さんが決して食べたこともない
ウニ、イクラ、大トロを注文し、
「美味しかったわ。今日ね、私、
もう眠いから帰るわ。板さん、お土産
作ってくれる?」
「こ、こんなに食って、食い逃げかよ!?
お前は!」
「ごめんなさい。山形から、母が、来て
マンションで、待っているの」
定期入れを握りしめ、咽び泣く
お父さん。
ただ、お父さんにも、理性はあります。
「ホステスの言葉なんてウソばっかりだ。
優しいのは商売だから、もう通うのはよそう...」
冷静な気持ちで、行きつけの
キャバクラにも寄らず、
「今日は久しぶりに
女房と差しつ差されつ」と、
まっすぐ自宅に戻ります。
ところが、奥様は風呂上がりで
化粧っ気もなく、髪の毛を無造作に
ゴムで結び、
「私、先に寝るからね。ビール?
冷蔵庫に入っているから、勝手に飲んでよ。
つまみ? 自分の鼻でも、つまんだら!?」
ひとり、寂しく冷蔵庫を開け、
「ところで栓抜きは...?」と、
1つでも栓抜きはどこだ?
と、台所の引き出しを
開けて探し回る。これでは、
栓抜きはあっても、息抜きは出来ません。
妻が食べ残した野沢菜を肴にし、
ひとり手酌のお父さんの脳裏に浮かぶ
のは、お気に入りのキャバ嬢のアケミの笑顔。
「どうぞ、お飲みになって...」
そう耳元でささやき、体を密着させ、
ビールを注いでくれるアケミ。ぱっくり
と開いたドレスの胸元には、
こぼれそうな2つの●●。香水が鼻を
くすぐり、
「同じビールなのに、
何でこんなに美味しいんだろ?」
五感のすべてを刺激されたお父さんは、
しばし、至福のひとときを味わうのです、
それが、自宅での手酌酒。
「アケミ...もう二度と行くまいと思ったけど、
あの優しさがホンモノか、どうか、
やっぱりもう一度、行って確かめてみるよ」
となるのです...。
備考:この内容は、
2011-4-11
発行:小学館
著者:綾小路きみまろ
「あの顔その顔この顔で
謹んでお喜び申し上げます」
より紹介しました。