【はじめに...】
はじまりは、「そろそろ日本一周するか」
という思いつきだった。
私は、旅行系YuTuberとして
月の半分ほどを旅をしながら、どこかで過ごすという
生活を送っていた。
東北、関東、四国、九州など、地方ごとに
日本各地をまわってきたのだが、考えて
みると、ガッツリ日本一周というのは、
したことがなかった...。
旅行系YouTuberを 名乗るのならば、
日本一周ぐらいは、しておくべきだと常々思って
いたのだが、疲れるし、お金もかかるし、
とネガティブな理由を並べて 行くのをズルズルと
送らせていたのだ。
けれど、コ■ナ渦も、そろそろ明けかけた頃。
行くなら今かもな?
という思いが強くなったのだ。
「そろそろ日本一周をしてみようと 思うんだけど、
どう思う?」
こんな話を、お酒を飲みながら友達にした...。
アドバイスを求めていたわけではなく、
ほとんど決定事項を話すような そんなテンション
だったのだ。私の旅の話を聞き慣れている
友達のことだ。
「大変そうだけど、頑張ってね~!」
なんて、そんなことを言われるのを、期待していた。
しかし、彼女は、予想に反して辛辣だった。
「何か、目的やゴールが無いまま、ただ日本一周しても
面白くなくない?」
私は、予想外に返答に。
「えっ~!?」と動揺してしまったのだが、
その至極、まっとうなアドバイスに
「た、たしかに~!」と、納得してしまった。
日本一周の歴史は長く、さかのぼれば、
「伊能忠敬」の話になってしまう。
(文献が残っていないだけで、
もっと古いのかもしれないが...)
歴史が長ければ、長いほど挑戦
している人も多くなる。
身分による差別も無くなり自由に旅行が
出来るようになった現在では、日本一周なんて
ヤル気さえあれば、誰でもできるし、実際、
結構多くの人がやってのけている。
特に私が身を置く、YouTubeという世界では、
「日本一周」は、コンテンツとしても飽和気味で、
徒歩、鉄道、クルマ、バイクと、ほとんど、
すべての移動手段で、すでに何人も挑戦している。いわば
もうやり尽くされたコンテンツなのだ。
5年ほど、「アンドロイド」という奇妙な
キャラを続け、独自の立ち位置を手に入れた私でも、
「いったい何百番煎じだよ!?」 と匿名掲示板で
ヤジられるのが 目に浮かぶようだった。
私が、長い間、後回しにして、ようやく
挑戦してみょうと重い腰を上げた”日本一周”は、
今や特段、珍しいものではなかった...。
ならば、他の人と同じ「にほんいっしゅう」に
ならぬよう 何らかの制約を課すべきだ。
それは、期限か、使えるお金か...?
いや、多分もっと強烈な縛りが必要で...。
そんなとき、ふと思い浮かんだのは、
「最長片道切符」のことだった。
「最長片道切符」とは、簡単にいえば、
一筆書きで、最も経路の長くなる「JRの片道乗車券」のことだ。
同じ駅を2度と、通らなければ、それだけ
遠周りであっても1枚の切符になるという性質を利用し、
一番距離が長くなるよう あえて遠回りして
進んでいくというもの。鉄道好きな人達が編み出した
クレイジ●な切符なのだ。
それこそ、はじめは、机上の空論、計算遊びの
ようなものだったと思うが、宮脇俊三氏や植村直樹氏
など、実際に挑戦する人も現れ、いまでは、
鉄道好きの間では、名の知れた切符となっている。
現在の、最長片道切符は、北海道の稚内駅から、
長崎県の新大村駅までを、一筆書きで結んでいる。
(新線開業や廃線などにより、
最長ルートは、都度変わってゆく)。
総移動距離は、1万kmを、ゆうに超える。
日本の鉄道網が、いかに複雑で長いのかが、
わかってもらえるだろう。
ただ、知名度の割に、この旅を実行する人は
極めて少ない。
なぜかというと、お金と時間が、
かかるからだ。
切符自体の有効期限は、約2ヶ月間あるのだが、
2ヶ月間の休みを得るのは、働いている社会人に
とっては厳しいことだろう。
観光を捨て、列車に下り続ける日々を
続け倒しても、まるまる1カ月は、休みがないと厳しい。
宮脇俊三氏も会社を辞めたタイミングで、
最長片道切符の旅に出たと 著書で語っている...。
備考:この内容は
2024-6-20
発行:イカロス出版
著者:アンドロイドのお姉さん SAORI
「最長片道切符
~一筆書きでニッポン縦断~」
より紹介しました。
【おまけ...】
(54日間)
最長片道切符 | 90,970円 |
---|---|
特急料金 | 106,720円 |
食費 | 95,524円 |
宿泊費 | 319,112円 |
総額 | 630,456円 |