【自分の時間を、他人に委ねない...】
（作家：あさのあつこ）
わたしは、自分が怠け者で、努力不足で、力足らず。ダメ人間中の
ダメ人間だと、ずっと自覚してきました。周りから、それとなく
告げられたことも、周りの忠告を自分勝手に変換して責められていると
感じたこともたくさんあります。
（今でも、ちょっとぐらいはあります）。
だから、楽しく、有意義に齢を重ねていく。時間を使っていく、
そんなことは語れません。おっと、いきなりテーマを放り投げる
ような告白、ごめんなさい。
でも、方法ってないと思うのです。
生きていける日々、この一時、今この時は人それぞれです。
私には私の日々が、あなたにはあなたの日々があって、それは全くの
別物じゃありませんか？ 私の時間に使い方が、あなたの
参考になるとは思えないのです。
時間を考えるとは、自分の生き方と
向き合うことです。自分の生き方は自分だけのもの。他の誰にも
委ねてはなりません。私は、こういう風に時間を使いたい。それは、
私は、こんな風に生きていきたいに、つながっていくのです。
そこを忘れて、一般的なノウハウを取り入れても、それは身に合わない
服をムリに着込んだようなものでしょう。どれほど美しくても、
どこか ちぐはぐで不格好で、ずっと着続けることはできません。
「こんど50歳になります...」
あなたは、あなたの時間を自分に合わせて、オーダーメイドすべきです。
いや、自分の手で操り、組み立て、縫い上げるべきなのです。
他人の価値観とか常識ではなく、自分の心を通した時間を重ねて
いくのです。他人に奪われない、侵されない一時を一日を一生を
手にすることが幸せだと、私は思います。
「奇跡の63歳」
備考：この内容は、
2024-6-10
発行：PHP研究所
著者：あさのあつこ
「PHPスペシャル」
より紹介しました。
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