裏側的な話をすると、旅をしながら
YouTuneの撮影をするというのは、どうしようも
なく疲れる。
動画の校正や魅せ方、次の場所など
考えることが山ほどあって、それを1人でこなして
いるのだから、基本的にキャパオーバーに
なりがちなのである。
そんな日々を過ごしているのだから、
毎回、いいホテルに泊まって、アロママッサージでも
受けたい気分なのだけれど、そんなわけにもいかない。
YouTuberという職業は、儲かるイメージが
あるかもしれないが、私のように旅の動画を
あげているYouTuberは、費用がかさみ
大して儲からない。
通帳を眺めると、現状の厳しさが身にしみる。
まぁ好きなことを、やっているので仕方ないと、
自分をなだめながら、日々、カメラを回している。
「カプセルホテル」
旅をしていると、宿選びも、重大なタスクの
1つになる。
基本的にホテルに泊まることが多く、
比較して安ければ、カプセルホテルやゲストハウスに
泊まることもある。滞在時間が極端に
短い場合など、安く済ませたいときは、漫画喫茶で
仮眠をとることも...。
「ゲストハウス」
「漫画喫茶」
「漫画喫茶・快活CLUB」という鍵付き個室が
ある漫画喫茶にいたっては、常連になりすぎて
プラチナ会員に昇格したところだ。
ただ、いろんなところに旅をして泊まり歩くうちに、
1人旅には、ビジネスホテルが最適だと
いう答えを導き出した。
民宿や旅館では、宿泊と同時に温泉や料理を
楽しめるので、すごくいいのだが、女1人で
行くとヘンに心配されることがあった。
いつか、山道を進んだ先にある温泉街に
泊まっていた時のことだ。
そこの温泉を目当てに訪れたのだが、
近くにはビジネスホテルのような手軽なホテルは
なく、ちょっと、奮発して到着から出発まで
おかみさんが世話をしてくれるタイプのいい
旅館に泊まることにした。
到着早々、女将さんは、
「1人で、来たの?」
「疲れていない? 大丈夫?」
「温泉にゆっくり浸ったら日々のストレス
なんて、なくなるからね」
と、お1人様の私を、すごく気にかけてくれた。
座敷でご飯を食べている時も、ロビー
の扉を通る時も、声をかけてくれて、
日々の生活の心配までしてくれた。なんて温かくて
優しい人なんだろうと思った...。
備考:この内容は、
2022-1-26
発行:KADOKAWA
著者:SAORI(高山沙織)
「散歩するアンドロイド」
より紹介しました。