【気温・湿度・風の影響...】
ゴルゴ13が尋ねたように「気温」と
「湿度」も、射撃に影響を当てる。気温と
湿度が低ければ、空気抵抗が大きくなり、
弾丸の落差を大きくするのだ。
ゴルゴ13に尋ねられたCIAの捜査員は、
「気温16℃、湿度60%」と答えていた。
もし、デイブが気温2℃、湿度50%を
想定して「零点規正」していたら、落差は
さらに14cm大きくなる。距離の違いによる
68cmと合わせ、ゴルゴが十字線をあわせる
べきは標的より82cmも上ということに!
この点について、次元はどうなのか?
気温と湿度のちがいが ゴルゴ13と同じなら、
落差の増大は、1.47cm。標的のマークは
半径1.5cmだから、マークの真ん中を
狙えば、ギリギリで当たることになる。
それより大きいのは、風の影響だ。
CIAの捜査官は「北北西も風、風速6m」
と答えていた。これがもし、横風だったら、
1020mの距離では、着弾点は
風下に3mもずれる。ゴルゴ13は標的より
3m風上を狙わなければならない。
これに対して、次元の射撃現場で
吹いていたのは、風速3mの向かい風。この
風は、着弾点の左右のズレには影響なく、
落差を大きくするだけだ。その落差を
計算してみると、わずか7.8mである。
以上、ゴルゴと次元が見せた
遠距離射撃は、どちらも驚異的な結果だが、
どちらがすごいとかと言われれば、
ゴルゴ13のほうに軍配があがるだろう...。
備考:この内容は、
2016-12-2
発行:KADOKAWA
著者:柳田理科雄
「空想科学読本 14」
より紹介しました。